2017年10月14日土曜日

小池百合子と前原誠司の初めての共同作業の結果

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2014年の衆院選・小選挙区の与党・自民党と公明党の得票率は49.54%に半数未満に留まったが、獲得議席率78.64%に達した。野党は得票率50.46%と過半であったが、議席率は21.36%でしか無かった。小選挙区制度はその選挙区で第1党のみが議席を得るので、地域政党でも無い限り、支持率が中途半端な党には不利な制度だ。野党が乱立している今の日本では、このような結果がもたらされる。

大敗の後に大勝がある制度かと言うと、そうとも限らない。議席の数が少な過ぎると、支持者の陳情に応えることも、次の選挙で質の良い候補者を確保することも難しくなり、下手をすると政党自体が分解する。考え方が多少違っても、野党は寄り集まって選挙協力をしましょうと言う事になる。地方選挙や参院選で試した所、野合と揶揄されようとも、成果は上々。野党党首は衆院選でも選挙協力を行なおう、内閣支持率も以前ほど磐石では無いと意気込んでいたら、予想外の展開が待ち受けていた。

野党第一党の民進党は9月27日、前衆議院議員を含めた推薦予定の候補者を、突如として現れた小池百合子都知事が率いる希望の党に合流をさせる方向を、前原誠司民進党代表の主導で決定した*1。その後、希望の党の意向もあって、党内実力者や党内左派勢力を明示的に弾き出した上に、政治姿勢が硬直的な人が自発的に合流しない形で概ね決着した。追い出されたグループの大部分が立憲民主党を形成する一方、選挙に強い保守重鎮は無所属で選挙に望む事になった。

前原氏の誤算はここからはじまる*2。どうやら小池百合子氏は、民進党と希望の党で反自民票の奪い合いを回避する意義を十分、理解していなかったようだ。最初に左派を排除する姿勢を強く出しつつ、共産党や社民党とはこれまで行なってきた選挙協力に色気も見せなかった。さらに、民進党左派勢力が結集した立憲民主党の候補者に、小選挙区での当選の見込みが無い一方で反安倍・反自民票を分断する“刺客”を送ることまでしている。小池百合子色の強い希望の党が、自民党支持者を引き剥がす事に期待したのかも知れないが、自公への“刺客”とは機能しそうにない。

現状ではあるが、内閣支持率が低迷する中での自民・公明の圧勝が予想されている。結果論ではあるが、前原氏の画策は物凄く下手な選挙戦略であった。応援演説をし合う積極的な選挙協力をしないにしろ、野党の中でもっとも票が取れそうな候補を残す消極的な選挙協力が、自公に勝つために必要最低限の戦術であるのは自明であったわけだが*3、前原氏と小池氏はこれを徹底しなかった。その理由は明らかにされていないが、組織も現有議席も無い状態で勝敗にこだわる必要がなく、保守保守2大政党制にこだわりが無く自公との連立も視野に入れているとされる小池百合子氏が、前原氏と目的を共有すると考える方が無理があったのかも知れない。

ところで現状予想される選挙結果は、自公の支持者にとっては勿論、野党支持者にとっても悪くはないかも知れない。希望の党が大負けをすれば、その瞬間のブームに無理に乗ろうとして選挙に臨むとどうなるかを示す教訓として残るであろうから、今後の日本の政党政治にプラスだと思う。選挙対策で野合をするにしろ、政策でも候補者擁立でもしっかりした打ち合わせが必要な事が十分理解されたはずだ。民進党の重鎮も最大の支援団体の連合も、前原氏の策略の詰めの危うさをチェックできていなかったわけだが、今回が随分と教訓になったはず。今後は前原誠司的な軽さは鳴りを潜めるであろう。前原氏自体、行き場が無くなりそうであるし。

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