2017年9月29日金曜日

前原誠司、民進党から希望の党に衆院議員を追い立てる

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前原誠司民進党代表が、10月22日投票の衆院選挙で民進党から公認候補を立てず、民進党の議員などには小池都知事が代表を勤める希望の党の公認申請を行うように促した*1。希望の党と民進党が反自民票を取り合う事で、小選挙区で潰しあいになる事が危惧されていたが、前原氏の思惑が機能すればそれは回避される事になる。前回選挙でも野党の総得票は与党の総得票を超えており、政権交代も可能かも知れない。また、希望の党はまだ組織としての形すら整っておらず、選挙後、小池都知事の影響力が低下することにより、民進党出身者で乗っ取ることも不可能では無いであろう。

1. 強引だが強い反発は無い

知りうる限り、政党政治としては異例の動きで、そのスキームは強引なものである。民進党から希望の党に衆院議員を追い立てる一方で、民進党は解党せず、前原氏は無所属で立候補し希望の党には合流しない。民進党が解党しないのは、プールしてある政党助成金の返還を避けるためであり、前原氏が希望の党に合流しないのは民進党の代表を去ると、民進党公認を出さないと言う方針が維持できないためだと推測される*2。民進党の代表権限によって、民進党として選挙活動を行なわない事により、かなりの強制力をもって、民進党から希望の党に衆院議員を追い立てている。驚くべきことに、民進党内からの大きな反発もなく、最大の支援組織である連合も前原氏のプランを承認した。恐らく、民進党が行なった世論調査で現有議席数を大きく減らす事が予測されたのであろう。

2. 名を捨て実を取るのは事実

単独の人気政治家に支えられた選挙活動になるため、それ相応のリスクはある。民進党の地方組織がついてこないかも知れない。今日までの意向を翻し、小池氏が都知事を自認して自ら衆院選に出れば、大きなイメージ・ダウンが生じるかも知れない。また、大臣経験者であり現役都知事であった枡添要一氏の事例を見るに、小池都知事に新たなスキャンダルが生じないとも言えない。しかし、投票日まで一ヶ月も無い短期決戦である。そのスキャンダルが顕在化する可能性は低いであろう。小池氏は、民進党との合流を否定し、民進党議員全員の受け入れは否定しているので、前原氏の計算よりも民進党出身者が希望の党で影響力を持てないリスクもある。政策的な踏み絵もあり、旧社会党の衆院議員は、望みは薄いようだ*3。しかし、希望の党は資金的、組織的、そして知名度のある候補者の不足により全国で選挙戦を展開する力はなく、そう選別もしていられない。名を捨て実を取ると言う前原氏の説明はそう無理なものではない。

3. 自民党に代わる安定した政治勢力を形成できるのか?

前原氏の選挙戦術は狡猾な一手ではあるが、無問題と言うわけではない。民進党と希望の党の政治的立場には一定の距離がある。小池氏は憲法改正や安全保障問題で自民党右派に近い考えを持つとされるが、民進党は共謀罪や特定秘密保護法について自民党案に反対し、それよりも緩い対案を提示して来ている。小池氏の考え方に揃えることを誓約させられるが、あくまで口約束である。経済政策については、小池氏は既に消費税増税凍結を、景気条項付消費税増税にその言説を変えておりこだわりは小さいと考えられるが、2016年末に「民進党の経済政策」を出し、その方針に沿って前原氏が公約をまとめたわけだが、結局、一度も有権者に自らの政策を問わないまま終わる事になるであろう。組織や政策よりも、個人の人気に重きを置くことになるのは確かだ。単独の人気政治家に支えられた選挙戦術を徹底する事で、自民党に代わる安定した政治勢力を形成できるのであろうか。政権交代はできても、築地市場豊洲移転問題のような政治的混乱を助長するだけで終わるかも知れない。

*1民進党常任幹事会から、2017年9月28日付で「総選挙の対応について」と言う一枚の紙が出されている。

*2民進党規約の第12条6の穿った解釈ではあるが、前原氏が希望の党からの立候補を決定した時点で、残った議員が代表は辞任したと主張して両院議員総会を開き、民進党を制御できる。その時点で希望の党にいける人はいなくなっているので、反小池で息があったので資金と組織力を独占できる。

*3旧社会党の衆院議員は、党議拘束にも公序良俗にも反していないのに、希望の党には入れない一方で、民進党から公認が貰えないし、もしかしたら選挙費用も貰えない。さらに、小選挙区なら「前職・民進党議員」と勝手に名乗ればよいだろうが、比例代表による立候補は新会派を作らない限り不可能になる。

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