2012年4月13日金曜日

金融緩和している?3月のマネタリーベースの減少について

このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote
Pocket

2012年3月のマネタリーベースの伸びが、前年比-0.2%となったので、日銀が金融引締めを行っていると思っている人が多いらしいが、緩和傾向の維持で間違いないので細部を確認したい。

マネタリーベースは日本銀行券発行高、貨幣流通高、日銀当座預金の三つで構成されている。それぞれの変化は+0.9%、+0.1%、-3.6%となっており、日銀当座預金の減少がマネタリーベースの減少要因だ。ただし、これは金融機関が余剰資金を日銀に預けているもので、経済に流通しているお金ではない(日本銀行調査統計局 - マネタリーベース(2012年3月))。

実際には、M2は3.0%、M3は2.6%とマネーサプライは増加している(日本銀行調査統計局 - マネーストック速報(2012年3月))。マネタリーベースが減って、マネーサプライが増えているという事は、貨幣乗数が伸びているという事だ。恐らく東北の復興需要等の影響で、単純に景気が良くなっている。一応、国内銀行の与信量の推移を確認しておくと、右肩あがりではないが伸びている(国内銀行の資産・負債等(銀行勘定(平残))(月中))。

どういう状況なのかと言うと、金融機関は潤沢な資金を持っていて、まともな資金需要があれば幾らでも貸せる。通常は資金需要が伸びれば、金利も上昇する事になるが、ゼロ金利制約下にあるため金利に変動は無い。まさに流動性の罠にはまっている状態での、景気循環のようだ。

二つの政策的インプリケーションがある。

  1. インフレ・ターゲティング政策の説得力が増している。期待インフレ率を上昇させて、流動性の罠から脱出しないと、実質金利が高く投資が滞っている可能性が高い。
  2. リフレーション政策の説得力が低下している。日銀が金融機関から国債等を購入する量的緩和を行っても、日銀当座預金が増加するだけで、当然だが市中金利が低下したり、マネーサプライが増加する可能性は低い。

2012年3月の傾向だけで結論は出せないが、インタゲは必要、リフレは無意味と言う状態に陥っている。期待インフレ率を操作しないと、量的緩和も効果が薄い。市場の期待を操作する魔術が必要なようだ。

生産年齢人口の減少が低成長の一つの原因である事は理解できるが、それを言い訳にして傍観せずに、期待インフレ率を操作する何かを打ち出してもらいたい。

0 コメント:

コメントを投稿