2011年6月30日木曜日

素人が価格の国際比較を行うとこうなる ─ 藤沢数希のケース ─

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日本の電気代の国際比較』と言う、著者の藤沢数希氏が為替レートを意識しない、金融とは無縁の世界に生きている人なのが良く分かる記事があった。

2010年度版のエネルギー白書を元に日本の電気代が高くないと主張しているのだが、経済学部の1年生でも気付きそうな以下のミスを犯している。

  1. 為替レートの変化を考慮していない。エネルギー白書を確認すれば分かるが2008年のデータなので、米ドルが107.42円、ユーロが169.57円(2008年6月30日)での比較になっている。現在は米ドル80.76円、ユーロが116.54円(2011年6月30日)なので、現在の日本の電力料金は為替レートの変化で1.5倍になっている。
  2. 化石燃料価格の変化を考慮していない。実はエネルギー白書のグラフでは、日本とドイツは2007年の値になっている。他の国は2008年だ。2007年と2008年は化石燃料価格は随分と違い、例えば日本のLNG輸入価格は3割ほど上昇している。このグラフでは日本とドイツは電気代が安く見えている。

このブログでも出所が同じデータを取り上げたが、為替変動について注意するとともに、日本の電力料金については言及を回避している(原発は最も廉価な発電方法)。白黒付け難い部分は、言及を回避するのは有効な手段だ。

学識経験者や為替や商品相場に従事している人であれば、このような見落としは余りしないものだが、藤沢数希氏は余りデータ分析の経験が無いのであろう。

なお、典型的なバッド・ケースなので取り上げたが、藤沢数希氏のブログには『当ブログはフィクションであり、登場人物その他全ては架空のものです。』と明記してあり、データ分析の素人らしい事は承知している。

2 コメント:

rityabou さんのコメント...

単にそれだけではないかもしれない。

東京電力HPに書かれている数値で自分で計算してみる。
一般家庭が 200kwh使用という条件で計算してみる。

30Aの基本料金819円 + 200kwh×22.86kwh/円 = 5391円。
5391/200=26.95円/kwh=0.334/kwhドル

OECDの数値に無理にあわせようとすると、貧乏人の救済処置用の電気料金を使わないと OECDの数値は出てこない。

(このあたりはナショナル・ミニマム、三段階料金制度みたいなキーワードで検索すれば理解できます)

uncorrelated さんのコメント...

>>rityabou さん
情報ありがとうございます。
おっしゃる事は良く分かりますが、他国の料金プランも同様に検証する必要がありますよね?
藤沢数希氏には、ちょっとレベルが高すぎるかも知れません。

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