経営破綻し会社更生法の適用を受けた日本航空が、整理解雇された運航乗務員や客室乗務員が裁判所に不服を申し立てていた事件だが、整理解雇は妥当なものだと確定した*1事に関し、労働問題が専門の濱口氏が日本人の解雇に関する感覚の特殊性を嘆いている。メディアと判決文の両方を批判しているのだが、話がちょっと分かりづらい。人員選定の正当性に対して注意が払われていないと言う批判だと思うが。
メディアは争点を正しく報道していないそうだ。整理解雇と言う人員削減の必要性と解雇回避努力の有無だけではなく、所属組合や年齢を理由にした人員選定の正当性も争っていたはずなのに、人員削減の必要性と解雇回避努力の有無だけを争っていたように報道されているらしい。産経ニュースは確かにそうだ。判決理由に触れるのであれば、四要件がそれぞれどう判断されたかを紹介して欲しいのは分かる。
判決文の方は、年齢の方は合理性があると判断しているものの、検索した限りは所属組合が人員選定に影響があったか否かが争点になったかのようには思えなかった。不当解雇と主張する人々の説明にも無いので、国際労働機構(ILO)や国際運輸労連(ITF)に対する申し立てとは異なる主張をしていたように思える。なお、年齢基準について議論があるのは分かるのだが、一般に当然と思われている事を否定する場合は、詳しい説明が欲しい気も*2。
瑣末的なところだが、運航乗務員や客室乗務員がジョブ型である事は、JALの整理解雇に関しては大きな影響は無いように思える。事務系地上職や整備職は希望退職者数が目標に達したため整理解雇が行なわれなかったに過ぎず*3、もし非ジョブ型で配置転換が可能であっても、解雇回避努力の余地は無かったからだ。原告側も配置転換を求めておらず、争点になっていない。
*2ジョブ型で年功賃金を払うからリストラ時に年齢差別をせざるをえない気がするのだが、そもそも欧米型のフェアネス感覚で賃金制度ができていない以上、リストラ時だけを取り上げてもと言う気がする。
0 コメント:
コメントを投稿