大学教育において聖書のようにある分野の人は必ず読んでいる(ことになっている)有名な教科書はあるものだ。そして何だかんだと読むのに時間がかかるので、読んだ人は親近感を持っている。高木貞治『解析概論』はその代表的なものの一つで、他の教科書で言及されていることも多い名著だ。で、アニメ「デュラララ!!×2」に『解析概論』が出ていたと盛り上がっていた(togetter)。
数学者になった人にはページ全体のイメージが脳に刻まれているらしい。ページ番号も特定されている。以下の上から順に、16頁、24-25頁、30-31頁、144-145頁、305-306頁。
学部で全部を読んでいる人は少数なのでは無いかと思うのだが、教科書指定されているせいか、『解析概論』は頻出だそうだ。他にも太宰治「愛と美について」、畑正憲「ムツゴロウの青春記」、「きまぐれオレンジロード」などで確認できるらしい。
単なる作画資料で盛り上がるところが、文化的に共有するものなのであろう。端的に言うと、数学徒ほいほい。専門家集団は排他的に見えることがあるのだが、こういうハイコンテクスト文化がそう見せていたりするのかも知れない。
ところで『解析概論』は高木貞治氏の死後50年が経過したので電子版をフリーで配布する計画が進んでいたのだが、改訂第三版は黒田成勝氏が手を加えており著作権の保護期間が実は過ぎておらず頓挫したそうだ(解析概論の著作権)。辞書的に参照したいときがあるので、残念な状況である。
なおデュラララの解析概論は分厚すぎるというツッコミが入っており、作画崩壊していたようだ。
0 コメント:
コメントを投稿