2019年12月7日土曜日

ネット界隈のフェミニズム論争は、閉鎖的な討論会よりも公開状の交換の方が建設的

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ネット論客の青識亜論氏がネット界隈のフェミニズム勢に討論会を呼びかけ、青識亜論氏の討論方法は議論に値しないと断られている。武闘派の活動家である野間易通氏の方は、条件が折り合わなかったようだ。ところで対話が重要だとしても、閉鎖的な討論会であるべきかは疑問がある。公開状の交換の方が建設的だからだ。

博学強記の学者たちのパネル・ディスカッションであれば普段からのインプットを聴衆に伝達する機能があるわけだが、ネット界隈の言い争いに参加している人々、必ずしも専門的な訓練を受けているわけではないし、専業の研究者であっても脇が甘いことが多い。用語や事実認識についてチェックをする必要があるし、誤謬推理になっていないか確認していく必要がある。かなり分野に習熟しているとしてもリアルタイムにチェックするのは至難なので*1、討論会にしてしまうと情報の質が落ちることになる。このブログではいつもフェミニスト勢を批判しているが、青識亜論氏と元グラビアアイドル/現ライターの石川優実氏の討論会の公開された議事録を見る限り、青識亜論氏の議論の仕方も詭弁か誤謬推理になっているものが多かった*2

文書化して貰えると、思いやりの原理を強く働かせて言いたいことを補正・補足することも可能になってくるし、より主張を精緻化するための文献を紹介することもできる。逆に、もっとプリミティブな問題を抉ることも可能になるかも知れない。例えば、青識亜論氏の方はまだ御本人が自分の持つ倫理や道徳、価値観を十分に整理できていないと感じることが多いのだけれども*3、オフェンスではなくディフェンスもしてもらう展開になれば、その辺が明らかになるかも知れない。

*1ネット界隈のフェミニストの議論は、参照されている文献に本当にそんな事が書いてあるのか確認しないといけないことが多い(関連記事:渡辺真由子のマンガ・アニメ・ゲーム内の性的描写規制論を振り返るあるジェンダー論研究者の英語読解能力が示唆するもの)。

*2関連記事:フェミニストはリバタリアン論客の青識亜論とどう言い争うべきか?

選好功利主義ではそうならないと以前に指摘したのだが、青識亜論氏は薬物によって脳に快楽物質が増えることが、功利主義における幸福の増大になると誤解を続けている。『功利主義入門 ─ はじめての倫理学』を薦めておいたが、読んでくれるであろうか。

*3青識亜論氏は功利主義を拒絶すると宣言している一方で、功利主義を含む帰結主義に基づいて倫理/道徳・法律を構成することを是としている。しかし、「私たちは自由であり、自由であることがかけがえもなく重要であるからこそ、その自由を行使して何を表現し、何を議論し、どのように振る舞うのかということを、自由なる主体たる私達一人一人が真剣に考えなければならない」と、(人間が道徳的行為者であるためには自由が必要であり、自由であるからこそ道徳的行為者でなければならないと受け取れば)カントの定言命法を連想させる。

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