2017年10月2日月曜日

核兵器なしで北朝鮮はソウルを火の海にできるのか?

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北朝鮮と米韓が戦争になれば、韓国の軍や市民に多大な犠牲がでるという話をよく見かける。北朝鮮が核攻撃能力を持たないにしろ、朝鮮半島での戦争は韓国に多大な被害が出ることになっている。朝鮮半島情勢に詳しいジャーナリストの辺真一氏や高英起氏の記事も、退役軍人からのインタビューでもそういう話を前提にあれこれ推測を行なっている。しかし、よく考えるとこれらの話に大した根拠は無い。

北朝鮮軍は38度線を越えられるのであろうか。1950年の朝鮮戦争では、北朝鮮が不意をうって38度線を南下して韓国に侵攻し、兵員数、装備、訓練に劣る韓国軍はあっけなく崩れ、朝鮮半島全土で戦闘が展開される大きな理由になった。現在でも兵員数は北朝鮮が上回るとされるが、装備と訓練は圧倒的に韓国が優れているとされる。また当時と比較すると航空兵力の対地攻撃能力は格段に向上しており、北朝鮮の戦車や自走砲が爆撃に耐えて展開するのは難しい。

北朝鮮は38度線を超える事ができなくても、自走砲などの野砲数千門がソウル市を攻撃することができ、ソウル市民に多大な被害を与えると言う話もある。具体的には、大量に配備されている122/200/300mm多連装自走ロケット砲(MRL)と170mm自走砲(通称コクサン)の射程が、弾薬によっては60Km以上ありソウル市内に届くとされる。しかし、この遠距離砲撃は継続的に実行するのが難しい。

ソウル市中心部から半径60Kmのエリア(上図、ソウル市を中心とする赤のサークル)を確認すれば分かるが、北朝鮮の領域内で攻撃可能エリアはそう広いところにならないし、そこは山岳地帯と言うわけでもない。航空兵力の良い的になる。なお、韓国軍が抜けていて、ソウル市が壊滅するまで反撃を決断できない可能性は無いとしている。スカッドなどの弾道ミサイルの射程はもっと長いが、配備済みのパトリオットPAC-3システムの仮想敵である。

北朝鮮を制圧するとなると、北朝鮮軍の士気が高ければ山岳地帯に篭るかも知れないし、市街戦になることもあり得るので、韓国軍の被害が大きくなっていく可能性はある。しかし、1950年の朝鮮戦争と同規模の被害が韓国の市民に発生する可能性は、核兵器でも持ち出されない限りはほぼ無い。

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