2013年8月17日土曜日

オバマ政権の税制改革に関するポズナーの見解:所得税引き上げは支持

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法と経済学の重鎮で、シカゴ学派で知られるポズナーが税制改革について、限定的にだが支持をしている(The Becker-Posner Blog)。

オバマ政権は課税所得25万ドル以上の限界所得税率を35%からほぼ40%、キャピタルゲインと配当課税を15%から23%に引き上げるような提案しているが、ポスナーの評価によると、少なくとも所得税の増税は、経済的にも、政治的にも妥当なようだ。

ポスナーによると、税制は徴税費用、配分効果、収入効果、分配効果から評価する事ができ、連邦も州も残念なシステムになっていて考察の余地が多い。しかし、ほとんどの提案は政治的には改革の見込みが薄く、連邦所得税の引き上げしか選択肢が残らないと議論している。詳しくは以下のような感じだ。

1. 所得税の引き上げは妥当

所得税の引き上げは、租税回避が起きるから、徴税費用は僅かに増える。減った給料を取り替えそうと必死に働く代替効果を考えると14%も余暇が増えるとは信じ難いが、配分効果もある。厳密には効果を分離不可能だが、歴史的には経済成長と税率に関係は無いように見えるので、収入効果は無いであろう。高い税率は連邦収入を増やし、課税後の不平等を改善するので、分配効果はある。子供の人生に悪い影響を与える不平等の拡大と、連邦赤字の増大*1を考えると、所得税の増加は良い提案に思える。

2. 消費税は政治的に不可能で、法人税は経済的に不適当

代替選択肢は、政治的に不可能性か、経済的に不適当に思える。(連邦)消費税は徴税費用が少なく、投資を抑制する効果が無く、逆進性は政府支出で補うことができるが、保守派が連邦政府の増大を気にする部分もあり、政治的には不可能だ。法人税は、企業と投資家それぞれに課税する二重課税になっており、投資を抑制すると批判されていて、配分効果で問題がある。さらに法人税の租税忌避は深刻で、連邦収入の8%にしかなっておらず、徴税費用が高い。法人税が無くなっても、他の税収が増えるであろう。

3. 所得/税額控除の縮小は妥当だが、政治的に不可能

所得/税額控除などをなくして課税ベースを増やすのは、有効な代替案になる。住宅保有に住居の保全や地域社会へのコミットメントが増すと言う外部経済があると言うのは馬鹿げた前提であり、住宅ローン控除などは無くすべきであろう。寄附金控除は、政府サービスを減らす効果がある事を考えると、同様に疑問が残る。しかし、この二つは聖域であって、政治的には廃止に現実性が無い。

4. 炭素税・ガソリン税は妥当

税収よりも人々の行動を変える事が目的の規制課税(=ピグー課税)は無視することができない。長期的な経済への脅威となり、また疑いもなく莫大な税収をもたらす二酸化炭素排出への課税は間違い無く必要だ。同様に連邦ガソリン税は、二酸化炭素の増加と渋滞を減らすことができるであろう。ピグー課税は、配分効果で肯定される。

5. まとめ

政治的抵抗を考えると大規模な税制改革の実行可能性は限られているが、少なくとも連邦所得税の増加は政治的には可能で、連邦赤字に対応するために経済的に正当化できる対応に思えると、ポスナーは結論している。

キャピタルゲインと配当課税について保留されているのが気になる所だが、米国の知識人ではこういう論調が強いのかも知れない。

*1クルッグマンは実はGDP比での連邦赤字は減っているのだが、広く知られていないと指摘している(NY Times)。

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