2011年8月15日月曜日

リフレ政策は本当に下火になったのか?

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慶應義塾大学大学院経営管理研究科准教授の小幡績氏が「リフレ派の終焉」で下火と、経済学者を自称する池田信夫氏は「円高はなぜ止まらないのか」で壊滅とリフレーション政策と断定しているが、実際の論調に大きな変化は無い。根拠が不明確な主張を簡単に否定すると水掛け論になるので、論調に変化が無いと言える理由を整理してみた。

1. 顕在リフレ政策支持者はまだまだいる

リフレ政策は「穏健」「普通」「急進」の3タイプに分ける事ができる(岩本康志のブログ)。ゼロ金利を維持する程度の穏健リフレ政策であれば、反対者は少ないように感じる。もちろん日銀の危険資産購入や為替介入の非不胎化介入を含む量的緩和政策を許す「普通」、国債の日銀引受を含む「急進」では賛成者は減る。しかし著名な経済学者の清滝信宏氏、浜田宏一氏あたりは「普通」のリフレ政策を推進しているようだ。駒澤大学の矢野浩一氏も相変わらず。ノーベル賞経済学者のクルッグマンも、リフレ政策によって引き起こされると考えられているハイパー・インフレーションは起きないし、緩やかなインフレーションは融資を促進し民間部門の負債負担を軽減すると主張している(NYTimes.com)。

2. 潜在リフレ政策支持者は大量にいる

そして潜在的なリフレーション支持者はさらに存在する。インフレ・ターゲティングはメディアでは多くは紹介されていない用語だが、インフレ率を目標範囲に維持すると言うリフレ政策と表裏一体の政策だ。学術分野ではリフレーションよりも、インフレ・ターゲティングの方が熱いトピックとなっていた。インタゲ支持者はかなりいるはずで、それらの人々は少なくともリフレ政策反対者だとは考えづらい。少なくとも穏健なリフレ支持者と見なして良いであろう。

3. リフレ政策は『政治的』に下火になった

このように顕在リフレ政策支持者も存在するし、潜在リフレ政策支持者も存在するので終焉もしていないし壊滅もしていないように思える。池田信夫氏が主張を変えたと狂喜しているクルッグマンでさえ、政治的コンセンサスが得られないのでリフレ政策は無理だと、皮肉を込めて主張を変更したフリをしているに過ぎない(NYTimes.com)。政策担当者の頭が固いのでリフレ政策が無理と言う主張は、経済学的にリフレ政策の無効を認めたものではない。ただし、政治的に選択肢に上がらないと言う意味では、下火になったとも言えなくも無い。

4. リフレ政策は経済学者間では消失していない

政治的に遂行される可能性がなくなっても、顕在・潜在支持者が多数いるので「リフレ派も、経済学界ではほぼ壊滅した」という池田信夫氏の主張は根拠を欠く。池田信夫氏には英語や経済モデルを理解しないで経済政策を主張しているという批判もあるし(池田信夫のクルーグマン理解について)、冷静さを欠いているのかも知れない。小幡績氏の書き方は上手くて「リフレ派の議論はいつの間にか下火」と言われると否定できない雰囲気は確かにあるのだが、小幡氏のブログのエントリー(2010年10月27日)以降に、清滝氏がインタビューに応じてリフレ政策を主張しているので、小幡氏の見立てが正確ではなかったと言えるであろう(日経ビジネスオンライン2011年4月11日)。

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