2011年5月25日水曜日

河野太郎の良識が危ない、文科省調査から勝手に被曝被害を妄想中

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社会調査の分析結果を何の訓練も受けていない人が見ると誤解をする事が多いが、期待の若手国会議員である河野太郎氏も例外ではないようだ。「原子力発電施設等放射線業務従業者等に係る疫学的調査」の調査結果を見て、年間20mSvの被曝量が危ないと主張している(河野太郎公式ブログ)。

この調査は放射線業務従事者を対象とした、死亡要因を分析したもので、「死因別標準化死亡比(SMR)」(P.85 付表1.3-1)と、「死因別累積線量群別O/E比および傾向性の検定」(P.89 付表1.3-3)を行っている。読めばすぐに河野氏がミス・リーディングを起こしていることが分かるが、調査結果の要点をまとめておこう。

  1. ガン死亡率全体は高くは無い
  2. 食道・肝臓・肺ガンの死亡率が高い(飲酒・喫煙は未調整)
  3. ガン以外の死亡率全体は低い
  4. 心・血管・呼吸器系疾患、結核が高い
  5. 外因死(事故や殺人)の死亡率が高い

放射線量の増加でガンの確率が増加するのは、飲酒・喫煙などの生活習慣要因のあるガンのみで、他は統計上は明確な傾向は示していない。非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫も傾向はあるが、誤差が多く予想され相関関係を結論できるわけでは無いようだ。

酒とタバコを手放せない工事現場の作業員の死因調査を行えば、このような結果になる事は想像に難しくない。この調査は、年齢と暦年を調整しているが、職種や生活習慣は調整していないので、放射線業務による弊害の結果なのか、放射線業務従事者の性質の結果なのかが判別できなくなっている。

社会調査では見かけ上の相関が出やすく、データのバックグラウンドを知らないと、河野氏のように分析結果の読み違いを行う事になる。ただし、同調査報告書では、放射線業務従事者とガン等の疾患との関係を全く結論しておらず、ワカリマセンと言っている。

低線量域放射線と健康影響について、より信頼性の高い科学的知見を 得るためには、今後ともこの放射線疫学調査を継続する必要がある

分析者が関係を特定できない情報から、河野太郎氏が年間20mSvの被曝量が危ないと結論に至った経緯は不明だが、文科省調査から勝手に放射線の被曝被害を妄想中と言わざるをえないであろう。河野氏の良識が危ない。

6 コメント:

santa301 さんのコメント...

調査を行った 財団法人放射線影響協会は、「原子力や放射線の利用を促進する」ために設立された。
 調査は1期~4期まで報告がある。
 3期までは、放射線との関係で有意な傾向は出ていない。
 4期調査で、有意な傾向が出たら、喫煙の影響の記載が増えた。」(喫煙の記載は3期から)
   総合評価「今回認められた白血病を除く全悪性新生物の死亡率と累積線量との有意な関連は、生活習慣等の交絡による影響の可能性を否定できない。」
 調査の観察期間はまだ11年、しかも比較している数字は作業員として働いていた累積の放射線量です。
 可能性を否定できない→可能性はゼロ(斑目発言)のように、よくわからないということだとは思いますが、
福島の子供たちは、放射線業務従事者より高い放射線量を浴びています。
 結果が明確に出てからでは手遅れなのです。
 この調査の結果が真っ当なのか、結論ありきなのか、統計の専門家の目で検証いただいて、単に「妄想」と切り捨てるだけでなく、わかりやすく説明いただきたく思います。

uncorrelated さんのコメント...

>>santa301さん
コメントありがとうございます。

調査は放射線の累積被曝量と病因についての結論を保留しています。生活習慣を調整できていないからです。

ゆえに、調査を元にしては、累積被曝量と病因が関係あるとも、無いとも主張できません。学術的には、関係があると言え無いときは、大抵は無いと解釈します。

河野太郎氏は、調査分析では不明とされている「累積被曝量とガン発症率の関係」を、あたかも調査結果のように主張しています。ゆえに、妄想です。

なお、このエントリを読み返して頂ければ分かると思いますが、福島県の子どものリスクについては議論していません。
主張に科学的な根拠があるように思わせている、河野太郎氏の発言を批判しているだけです。

santa301 さんのコメント...

河野氏も「危険性がないとはいえない」(危ないかも知れない)ことを言っているだけです。政治家ですから、わかりやすく。

  良識・・・常識に疑問を持てる知恵

uncorrelated さんのコメント...

>>santa301さん
河野太郎氏は「繰り返すが文科省の調査によると、年間10ミリシーベルトではなく、累積して放射線量が10ミリシーベルトを超えたあたりから、がんによる死亡率が増えている。」と明言しており、調査結果が示していないことを、調査結果を根拠として主張しています。
ゆえに良識があるとは言えません。

jojo さんのコメント...

ただの素通りですが・・・少し気になりました。

情報というのはすべてが正しいとは限りません。5割は真実、5割は思惑(による情報操作)です。思惑部分について理路整然と攻め立ててもよいですが、ほとんどの場合、徒労に終わります。意図のある思惑ですから。

文科省がすべて正しいとも限りませんし、河野さんがどういった立場にたっているのかにもよります。そういった見えない部分について、知る事が可能なのであればあなたの批判も正しいでしょう。しかし普通は無理でしょう。そもそもの良識判断もあなたから見えている部分での判断にすぎませんから。

特に河野擁護をするわけでもなんでもないのですが、あまりにも楽観的な考え方だな、と思ったのでコメントさせていただきました。

では、失礼いたしました。

uncorrelated さんのコメント...

>>jojo さん
コメントありがとうございます。

私が指摘しているのは、「年間20mSvの被曝量が危ない」という河野氏の主張が、「原子力発電施設等放射線業務従業者等に係る疫学的調査」にある文書やデータなどでは、全く裏づけにならないと言う事です。

河野氏は、調査結果を真実だとして、放射線の危険性を訴えているわけですが、調査結果にはそのような事実は記載されていないわけです。

つまり、調査結果に書いてあると主張されていることが、調査結果には書いてい無いことを批判しているだけで、河野氏の思惑は関係ないと思います。

> あまりにも楽観的な考え方だな、

本エントリでは、放射線の危険性も安全性も主張していないので、どこを「楽観的」とおっしゃっているのかが分かりませんでした。

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