2010年6月25日金曜日

iPhoneとAndroidのちょっとした大きな違い

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今年の1~3月期は、米国市場ではAndroid端末の小売市場での売上が、iPhoneのそれを上回った。このままのペースでAndroidが拡大していけば、iPhoneの地位低下は避けられないと思われている(Apple's fallen and it can't get up)。

一方で、6月に発売される新型のiPhone 4が、期待通りの製品となりそうな事から、Appleが盛り返して、Androidの攻勢もここまでだと見る人もいる(iPhone 4 pre-order volume suggests Android momentum is over)。Androidも、HTC Droid IncredibleやHTC EVO 4G、DELL Streak、Motorola Droid X等の新製品も控えており、スマートフォン市場は予想が難しい市況になっているようだ。

しかし、どちらもスマートフォンで見分けがつかないし、iPhoneの方が格好が良いのでAppleの圧勝になりそうな気がする。確かに日本市場ではiPhoneが圧倒しているが、米国ではそうなっていない事情もあるので、両者の違いを良く見ていこう。

1. ソフトウェア

ハードウェアのスペックに目が行き勝ちだが、まず両者の機能差はソフトウェアになる。Apple製品の方が高機能に見えるが、実際のところは以下の3点でAndroid製品群の方が高機能だ。

1. ホームスクリーンのウィジェット
日本のガラゲーで待ちうけ画面に凝っている人はそこそこ多い。ここをiPhoneはカスタマイズできないが、Androidはカスタマイズできる。時計(右図の左)や天気予報のウィジェット(右図の右)は確かに便利なアプリである。
2. 通知機能
iPhoneの通知機能は毎回ポップアップしてくるので、複数のアプリケーションや機能を同時に扱うのに向かない。Androidの通知機能はもっと洗練されており、画面下側の通知バーに表示されるので邪魔にならないし、複数の通知があったときの見通しが良い。通知バーを下にドラッグすると右図のような通知の一覧が出るので、当然、詳細も見ることができる。
3. マルチタスク
iPhone 4発売時にマルチタスクが導入されたが、機能は制限されているし、マルチタスク対応アプリでないとうまく動かない。Androidはバックタスクは遅くなるものの制限が無いので、チャット機能やtwitterクライアント等のネットワーク・アプリケーションに適しているし、全てのAndroidアプリが対応アプリとなっている。
4. アプリ間の連携機能
他のアプリにデータを送れるインテント、他のアプリにデータを使わせるコンテンツプロバイダというアプリ間の連携機能が準備されている。

ソフト的にAndroidよりiPhoen(iOS)が高機能なのは興味深い。ただし、iPhoneアプリは動作速度や電力消費量が少なくなるような仕組みでできており、全体としてAndroidに劣るわけでは無い。

2. ハードウェアのバリエーション

iPhone 4は優れたハードウェアのスマートフォンだが、キーボード付は無い。Androidは物理キーボード付もあるし、無しもある。もちろん重さ、デザイン、動作速度、画面の大きさも多種多様な端末が既に開発されている。iPhoneの3.5インチの画面では指が太くてクリックがしづらい人も多いだろうが、Androidには4.3インチ以上の画面のモデルもある。

最近話題が多い端末を並べても、Samsong Galaxy S、Motorla Droid X、HTC EVO 4G、Sony Xperia X10、Dell Streakと5つは並ぶ。小型軽量モデルのXperia X8、FLIPOUT、HTC Droid Incredibleもリリースされるわけで、Androidの方が圧倒的なバリエーションがある。通信方式も豊富で、iPhoneはW-CDMAだけだが、AndroidはCDMA800/1900モデルもあるし、WiMAX対応のGalaxy S Proもリリースが予定されている。小さいガジェットこそ好みに個人差が出るだろうし、ハードウェアの多様性はAndroidの大きな利点だ。以下のような液晶面のガジェットを欲しがる人もいるかも知れない。

3. ガラゲーの機能が搭載される

NTT DoCoMoは、オサイフ機能等のiモード・コンテンツをAndroid携帯に対応させるとしているので、ガラパゴス携帯の機能が好きな人は、Androidに限るようになるだろう。iPhoneは、Appleがしっかりと機能を統一した1台しかないので、日本のガラゲーの機能が取り込まれる可能性は無いに等しい。

4. アプリ開発者に優しい

一般ユーザーからは見えづらい所だが、Androidはアプリ開発者に優しい。つまり、開発者がどんどんアプリを出してくる可能性がある。今はまだiPhoneアプリの方が数が多いが、Androidアプリも急激に数を増やしていて、現状では大きな差が無いレベルになっている。

やさしい理由を列挙すると、こんな感じになる。

1. Javaで開発が出来る
Javaは最も人気のあるプログラミング言語の一つで、ケータイ・アプリから、サーバー・プログラミングまで広く使われている。iPhoneのObjective Cは、流行のスタイルのオブジェクト指向言語では無いのだ。
2. Java以外でも開発ができる
望めばCやC++で開発もできるし、FlashをAndroidアプリに変換しても問題ないし、Flashでコンテンツを作っても良い。つまり、開発ツールの自由がある。
3. 互換性の問題が少ない
AppleはiPhoen OSのメジャー・バージョンアップのごとに、アプリにも多かれ少なかれ修正を強制している。iOS 4に対応するには、アプリをマルチタスクに対応させないといけない。一方でAndroidアプリは、過去のアプリが動かなくなる可能性は少ない。
4. アプリの公開で制限が少ない
AppleはiPhoneに、AppStoreからでないとアプリをインストールできないように細工している。これで社内アプリの開発等は事実上、不可能になっている。だからiPhoneではAppleの経営方針に沿わないアプリも排除されてしまうが、Androidにはそういう制限はほとんど無い。例えAndroid Marketから締め出されても、野良アプリとして利用する術はあるのだ。
5. Androidの欠点を指摘できる
iPhoneに技術的な問題があったとしても、開発者契約があるので、それを外部に漏らすことはできない。Androidに欠点や気に入らない事があれば、どんどんとインターネットに発信し、場合によっては解決方法を共有することもできる。言論の自由があるのは、開発者には嬉しい事だ。

まとめ

以上がiPhoneとAndroidのちょっとした違いだ。Appleによる秩序がある管理社会のiPhoneと、自由と多様性と混乱のAndroidと言えるかも知れない。今のところ、iPhoneのハードウェアとアプリは高い完成度があり、Androdiは細かいところのデキが悪いと評価されることが多いが、ソフトウェア的にもAndroidに幾つものアドバンテージがあることは特筆に価する。

今後iPhone 4の発売と、Android 2.1/2.2アプリの追撃が今後展開されるので、技術トレンドの発祥地の米国市場の消費者が、どちらを選択していくかは興味深い。どちらが支配的な地位を築くのかは分からないが、競争は製品の進化を産むのは確かだ。どういう結果になっても、消費者が望む形のスマートフォンが開発されるようになるだろう。

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