日本全国に利用率の低い空港ができたせいで、格安航空会社(LCC)が注目されている。空港の離着陸料を引き下げることで、コスト意識の高い航空会社を呼び寄せる事が目的のようだが、格安航空会社にも色々と問題があるのは認識しておいた方が良いであろう。安かろう、悪かろうでは済まない部分もあるからだ。
メディアなどから伝わってくるLCCの特徴を列挙すると以下のようになるが、安かろうで済ませられる部分も、済ませられない部分もある事が分かる。
- 1. 内装が簡素。
- ほとんど気にならない水準だと思うが、LCCの内装は簡素だ。座席のピッチが短く、シートが掃除のしやすい人口合皮である事が多い。また、機材は中古のA320やB737等の中型機であることが多い。
- 2. 機内サービスが有料化される。
- ANAでも国内線でトライしているが、機内サービスを有料化することで、チケット代を安く見せ、搭載する資材を削減・燃料代を浮かせる事はLCCの基本方針だ。Ryanair等ではトイレなども£1で有料化されるのではないかとか話題が多い部分で、以下のような動画が冗談として出回っている。
- 3. 頻繁に倒産する。
- 客室乗務員のヌード・カレンダーで有名になったAir Commetや、マカオの格安航空会社ビバマカオの例があるように、財務体質の弱い新規参入の格安航空会社は倒産しやすい。米国のLCCでは2008年以降だけでも、フロンティア航空、スカイバス・エアラインズ、ATAエアラインズが破綻している。当然、チケット購入後の倒産や、往復切符の片道での倒産はごく普通にありえるので、LCC利用者は多きなリスクを負っている。
- 4. 乗客に無理をかけても、キャンセルをしない。
- 格安航空会社は機材繰りが苦しい上、機材の利用率をあげるために極力キャンセルをしない。例えば代替機材を容易できない場合は、修理するまで十数時間も遅延を出しそうだったトマソン・エアウェイズの件や(BBC)、管制がストライキの状態でもボーディングを行い、誘導路上で水も与えられずに何時間も待機していたライアン・エアーの件がある(guardian)。
- 5. キャンセルや行き先変更をしても、乗客に替わりの交通手段は提供しない。
- 格安航空会社のライアン・エアーのFR4755便が、天候の為に目的地と異なる空港に着陸し、そのまま乗客を降ろして飛び去った事件があった。目的地に到達するためのサポートが一切無かったため、乗客の多くが困ったのだが、これは格安航空会社の運行姿勢としては典型的だ(Mail Online)。
内装が質素であったり、サービスが有料オプションであるのは、乗客は気にしないであろうし、問題にはならないであろう。しかし、頻繁に倒産したり、運行に無理があったり、キャンセル・行き先変更時に無責任な態度をとられたら、乗客はかなり困るであろう。格安航空会社を誘致しても、問題を誘発しないとは限らないのだ。実際、ビバマカオ倒産時は、マカオ政府が乗客のホテル代と帰りの航空券代を負担することになった。
また、スカイマークの茨城空港の例を見ると、不採算路線からは迅速に撤退するのが格安航空会社の方針なので、本当の過疎空港に格安航空会社が定着することは無いであろう。空港の利用率アップの切り札として見られているLCCだが、実際に地方空港などの助けになるのかは疑問だ。そろそろ田舎に飛行場を作っても、飛行機が飛ばないことを認識するべきであろう。
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