2017年6月12日月曜日

獣医学部設置認可に関する安倍総理の介入余地

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加計学園系列の岡山理科大学の獣医学部の設置認可に関して、官邸の弁明は奇妙な事だらけだ。報道各社が文科省職員に裏を取っているのに“怪文書”が確認できないと言い張っており、“怪文書”が文科省の文書だと証言する前川元次官の人格を別件を持ち出して非難し、さらに“怪文書”が示唆する獣医学部の設置認可に関して、客観証拠が出ているものに関してすら、官邸が関わった事実を否定しようと躍起になっている。

藤原内閣府審議官は国会で、昨年、自分が今治市の市役所職員と面談したかについて「確認ができておりません」と証言した。面談は違法でも無いし、今治市の方の記録には残っているのにだ。ただし、これは馬鹿げた答弁だが、安倍総理の答弁に比べると良心的かも知れない。加計学園に便益を図ったのではないかと追求された安倍総理は、「(首相は)関与できない仕組みになっている。国家戦略特区諮問会議でしっかりと議論がなされ、そこで決まる。介入する余地はない」と選定に関わっていないかのように主張している。これは嘘に近い。

国家戦略特区諮問会議とはどのようなものであろうか。安倍総理を議長とし現役閣僚と安倍内閣が選んだ有識者によって構成される会議だ。「国家戦略特別区域諮問会議運営規則」を読むと、議長が出席しなければ議決を行う事ができず、また、全会一致が原則と言いつつ、規則第4条3により、議長の意向が優先されるようになっている。国家戦略特区諮問会議の決定事項は安倍総理の意向であるのは保証されているし、他の議員から異論や反対も出づらい仕組みになっている。さらに議事録が公開されるのは、原則、2年後だ。安倍総理が関与していないなどと言うのは、国家戦略特区諮問会議の制度上、あり得ない。

内閣総理大臣は行政の長ではあるし、行政に関することでリーダーシップを取るのはおかしくない。総理の「ご意向」が文科官僚の反対を押し切ることがあっても、それ自体は単なる政治主導だから無問題だ。しかし、その場合は総理が「ご意向」の理由を国民に適時説明するべきで、「ご意向」を出した事を隠そうとするのは大問題。獣医師需要が減少すると予測されているのに、獣医学部を増やす方向に舵を切った理由と、近畿に二つの獣医学部があってはならず、四国に獣医学部が無ければいけないと考えた理由を説明すべきであろう。この二つは、“怪文書”があろうが無かろうが説明できないといけない。

ネット界隈では安倍総理の支持者が勝手に代弁しているが、安倍総理の説明が必要だ。安倍総理は自分に説明責任がないように振舞っているが、国家戦略特区諮問会議で決まった事である以上、それは無責任極まりない態度である。

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