構造失業率は過去データから推定される有効求人倍率が1のときの失業率と言う説明をしたら、それはおかしいと言う質問をされたが、それを前提に推定されている。
内閣府がやっている教科書的な推定では、UV分析を背景に置いていて*1、t期の失業率=t期の欠員率=t-1期の失業率(t-1期)となるところを長期均衡と見なしている。長期均衡では、失業率の分母である労働人口と欠員率の分母である仕事の口は一致するので、失業率と欠員率が等しくなるには、失業率の分子である求職数と欠員率の分子である求人数が一致する必要がある。求人倍率=求人数/求職数であるので、長期均衡の求人倍率は1となる*2。
この説明に対して、そうは言っても内閣府の構造失業率は毎期出ていて、長期均衡だとするとおかしいと言う質問をされた。別におかしくない。推定式を見ると、毎期の離職率や毎期の非常用雇用比率もあり、これらは外生的に毎期かわると解釈して計算するから、構造失業率は毎期出てくる。「平成27年度 年次経済財政報告」の「第1-2-1図 労働需給の動向」の推定では、離職率と年次ダミー(1980年~95年、1996年~1999年、2000年~2015年の三つ)が入っている。>
上の説明に対して、内閣府の推計結果の式をもとに構造失業率を計算したところ、内閣府が出しているグラフと値が合致しないと言う質問をされた。別におかし・・・かった。誤植が一箇所、説明がおかしい所が一点二箇所ある。これに騙されると数字があわない。下がその問題説明。
誤植は、式のD2の係数-0.015なのだが、これは+0.015の誤りだと考えられる。そうしないと数字があわないし、式の下の括弧内のt値の符号はプラスになっている。説明がおかしい所は雇用失業率と欠員率で、これパーセント値(e.g. 0.0314ならば、3.14)を入れないと数字があわない。なお雇用失業率なので、完全(構造)失業率を出すためには、失業者数=雇用失業率×雇用者数を計算したあと、完全失業率=失業者数/{失業者数+就業者数}を計算する必要がある。
なお、匿名質問者が2015年の最終四半期の離職率、雇用者数、就業者数を調べて来てくれたので、それで計算したところ、構造雇用失業率3.93%、構造完全失業率3.37%になり、だいたいグラフと同じ数字になった。
*2サーチ理論では長期均衡の有効求人倍率が1とは限らない。
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