2017年2月27日月曜日

インフレが消費を喚起するとは限らない

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日本でマクロ金融に興味がある人にはほぼ常識でも、ネット界隈では意外に知られていない故事がある。物価上昇率が高いと買いだめなどで消費(性向)が上昇すると思われているのだが、実際のところそうとは限らない。

実際、オイルショックのときには、低所得者層を中心に消費が抑制された。古賀・藤中・原(1977)は、「(23.2%と昭和25年(1950年)以降最高のインフレ率の)昭和49年の実質所得の低下期において,勤労者家計の消費性向が低下し,貯蓄率がますます高まる」と指摘し、さらに「消費性向の低下は低所得層ほど大幅」としている。

インフレによる実質所得の低下が、所得効果と消費平準化行動から消費を抑制し、それが特に低所得者層において顕著に見られたと説明できる。もちろんインフレがいつも消費性向の低下をもたらすとは言えないのだが、インフレが消費を喚起すると言うことすら、実は自明ではない。

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