2017年2月27日月曜日

リフレ派が非ケインズ効果を主張する

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嫌いなモノに片っ端から文句をつけると、整合性が取れなくなることはある。そういう事例をちょっと見かけたので、指摘しておきたい。学術分野の人や文筆活動をしている人が言っているのはなく、他の仕事をしている人のツイートなのでちょっと意地悪なのだが、陥りやすい所であるので。さて、問題のツイートを見てみよう。

「消費増税が消費を叩き潰した」と言うのも誤解だと思うが、それについては後述する。財政破綻洗脳は、増税で消費を減らすのであろうか。増税なしでは財政破綻するから消費を減らしている人々は、増税されれば財政破綻しないので消費を増やすわけで、むしろ非ケインズ効果が生じることになる。宵越しの銭は考えない江戸っ子のように、将来不安を感じない方が増税によって消費を減らすわけだ。財政危機を訴える財務省の行為が害悪だと言いたいがためなのであろうが、主張が矛盾したものとなっている。

さて、消費税増税で消費は減ったのであろうか。家計消費調査などを見ると、2013年より低いところで安定してしまったように思えるが、実際にはそうでもない。高齢化によって介護サービスなど医療・福祉支出が増えている*1のだが、これは社会保険で費用負担することが多く、大半は消費統計に載らない。社会保険や政府の負担分である現物社会移転支出を家計消費支出に加えた現実家計最終消費の推移を見ると、消費増税前の駆け込み需要を無視すれば、長期トレンドに乗っているように思える*2。この統計からは、リカード家計的である。また流通・販売の雇用者数も増加しており、医療・福祉以外への支出も家計消費調査の数字ほどは減っていないようだ。

*1医療・福祉分野の就業者数は、景気に関係なく増加を続けている(関連記事:雇用改善しているのに、景気が良くない気がする理由)。

*2関連記事:消費増税後も家計消費はある意味低迷していなかった

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