2018年3月10日土曜日

メディアと野党が近畿財務局職員を自殺に追い込んだわけではない

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不幸にもノンキャリアの近畿財務局職員が首を吊って亡くなった。この報道を受けて、元官僚の宇佐美典也氏が、ジャーナリストや野党政治家が根拠薄弱なスキャンダルもどきの森友学園問題で財務官僚を追求したので、同職員が自殺に追い込まれたと主張し*1、追求側はこれで満足なのかと怒っている*2。元官僚だからか情が入るようだが、色々と話が飛躍しているので指摘したい。

現時点で、遺書はあるようだが公開されておらず、自殺の動機ははっきりしない。安倍総理や財務省、佐川前理財局長(現国税庁長官)は盛んに非難されているが、自殺した職員はそうではなかった。「昨年秋以降、病気を理由に休んでいた」と報じられているので、直近のハードワークが原因になったとは考えづらい。仮にメディアや野党政治家の言説が自殺の原因だとしても、ハラスメントとは言えない状況だ。

「根拠薄弱なスキャンダルもどき」とも言えない。会計検査院は森友学園への国有地売却に関して、最大で6億円の過大割引となっていること、交渉経緯などの書類保全に不備があったことを指摘しており、これを見過ごせばメディアと野党が権力監視機能を放棄する事になる*3。国会提出文書の改竄問題も真実であれば重大な問題であり、朝日新聞は文書管理番号が同一であると自信を持っている*4

故人の名前をSNSで広めるような、問題追求に不要かつ遺族に迷惑がかかる行為を何の考えもなく行なってしまう野党政治家もいるので全面的には擁護できないが、仮に森友学園問題の報道が自殺の原因だったとしても、メディアや野党政治家が森友学園問題に固執することには正当性がある。

追記(2018/03/15 21:42):自殺した職員が残した「上からの指示で文書を書き直させられたとか、このままでは自分1人の責任にされてしまう、などといった内容が書かれたメモ」が発見された(NHK)。

*1

*2

*3関連記事:報道機関がまだ森友学園問題を終わらせてはいけない理由

*4関連記事:森友学園問題の決裁文書騒動からすぐに得られる教訓

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