2018年2月1日木曜日

米国配電産業の経験から分かる規制産業で設備投資を促すコツ

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設備投資が大きなインフラ産業は寡占化しやすく、公営もしくは規制産業になりがちだ。電力もその一つであり、発送電分離を分離しても送電部門は寡占産業となる。米国でも規制産業であるのだが、過少投資が誘発されやすく効率的な規制は難しい。米国は他の先進国と比較して、停電が多い方になっている。もうちょっと上手くやる方法を模索している研究がMicroeconomic Insightsで紹介されていた*1

原因としては、二つが考えらる。一つは、時間不整合性と言われる問題で、今日、政策的に電力会社に投資が促されているとしても、投資がされてしまった後は利用料金引き下げ圧力をかける誘引が規制当局にあるので、後日の政策変更を怖れて投資がされない。実際、米国の規制委員会は政治色が強く、方針に変化するリスクは小さくない。一つは、モラルハザードと言われる問題で、コスト積み上げ方式の料金規制では、経営陣はコスト削減のための追加投資を嫌がるようになる。

対策としては、停電率と言うか稼働率あたりの目標を設定して過少投資を避けること、エネルギー・ロス削減にインセンティブをつけモラルハザードを防止することなどが考えられる。具体的にはコストが料金に反映される程度であるパススルー率を低めに設定する事になる。ミクロ経済学の教科書的だなと思うわけだが、精緻にシミュレーションをした結果では設備投資を6割増しにすることで、停電を18%削減することが示されらしい。

日本も電力は規制産業だし、色々と参考になる所はあると思う。米国は電力小売市場自由化で、電力価格が下がったと言うような話もあるが、現実には完全競争市場を仮定することはできないわけで、寡占市場を上手くコントロールするノウハウは重要だ。

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