2018年1月20日土曜日

テクニカル分析思考「鰻の蒲焼は今のうちに食べておいた方が良い」は間違いか?

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なかなか見栄えの良い学歴・職歴で、著作も30冊を超えると言う内藤忍氏の「鰻の蒲焼は今のうちに食べておいた方が良い」と言うエントリーが炎上している。ウナギの稚魚のシラスウナギの漁獲量が年々減ってきており、今後もこの傾向が続くであろうからウナギの価格が高騰することが予想されるから、今のうちに味わっておこうと言う趣旨だ。シラスウナギの不漁の原因は何かと言う観点が完全に抜けていて興味深い。

内藤氏は証券会社にいた事がある投資クラスターなので、漁獲量が移動平均線を下回ってきたら、漁獲量はもう下がっていくしかないと言う発想なのであろう。企業の外部にいる存在である個人投資家は、取るべき正しい経営を考えても無駄であり、理屈抜きで株価がどういう方向に変化していっているかを掴む方が利益になる。テクニカル分析思考。さて、水産資源に関するテクニカル分析思考は愚かなのであろうか。

シラスウナギの不漁の原因が乱獲や河川の環境変化など人為的なものであって、それを解決したら資源量が回復が期待できると言うのは、恐らく真実であろう。しかし、劇的に漁獲高が減少してきたのに、結局は漁協も農林水産省も何ら手を打つことができなかった。国会でも農林水産省に資源管理の強化を求めた議員はほとんどいない*1。1960年代の資源量に回復すれば、2000年代の2倍の漁獲高でも乱獲にはならず、漁業関係者の収益も増えるはずなのだが、うなぎ産業従事者は全く乗り気ではない。

消費者が団結して鰻を食べないことはないわけで、絶滅が危惧され需要が半減しても需要は残る。そして生産設備がある以上、規制がかけられなければ可能な限りシラスウナギを漁獲して、うなぎを出荷しようとするのは見えている。この囚人のジレンマの最適反応は、間違いなく「鰻の蒲焼は今のうちに食べておいた方が良い」だ。資源保護と言う観点からはシラスウナギの禁漁が望ましいと思うが、消費者が将来を決める事ができないことを認識すると、内藤忍氏の主張はバカにはできない。

もっとも既に価格が上がりすぎて、私にはうなぎは食べられませんが(´・ω・`)ショボーン

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