2018年1月13日土曜日

マスメディアは子宮頸がん/HPVワクチン反対派と言うわけでも無い

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NPO団体代表の駒崎弘樹氏が、都民ファーストが反ワクチン脳になりかけていると非難していて、その中でマスメディアは反ワクチン的な言説を報道してきており引っ込みがつかなくなっている、村中璃子氏のジョン・マドックス賞受賞もごく一部のマスメディアしか報道していないと非難している*1のだが、うがった見方だと思う。

2010年ぐらいまで遡って検索すると、朝日新聞は子宮頸がんによる不幸を報じ、それを予防するHPVワクチンの公的補助を訴えるNPO団体の主張を紹介している*2。HPVワクチンの副作用疑惑が生じると、HPVワクチンに反対する人々の主張を紹介している。メディアはHPVワクチン反対派に転じたのかと思いきや、別に社説で反対している所は無いはずだ。毎日新聞は、副作用(副反応)を訴える人々の主張を紹介しつつも、「積極的勧奨の中止を解く時期が近づいていると思う」と言う意見を沿えた記事を出している。

村中璃子氏のジョン・マドックス賞受賞は、少なくとも産経新聞*3、朝日新聞*4、読売新聞*5は報じているし、毎日新聞もそれに言及した時評*6はそのまま掲載している。タイムリーではないのは、ジョン・マドックス賞が国内で広くは知られていないのが影響したのだと思われる。新聞は半年前ぐらいの統計発表を記事にする事もあり、全てにおいて速報性を重視しているわけでもない。

マスメディアがHPVワクチン接種をもっと推奨すべきだと言う考えもあるであろうが、副作用を訴える人が出てきたことをメディアが報じない社会と言うのも問題であろう。潜在的な被害者の声を封じたら、公害にしろ薬害にしろ実態調査も始まらず、被害が拡大する事もあり得るからだ。調査不十分で何にしろ因果関係の有無を決めつけられると困るが、両論併記的になるのは仕方が無い。そして厚生労働省が「積極的な推奨」に戻さないのは、メディアのせいではない。厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会に出た専門家の意見によるものである。

厚生労働省はこの問題の検討をあまりにダラダラやっているとは思うが*7、別にメディアが邪魔しているわけでもない。

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