2017年11月20日月曜日

サンフランシスコの従軍慰安婦像の残念なところ

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サンフランシスコの従軍慰安婦像の公有化問題で、大阪市長がサンフランシスコ市との姉妹都市を見直すと息巻いている。ネトウヨの皆様も、概ね、不愉快に思っているようだ。議会の決定に対して市長が拒否権を出すように、大阪市が圧力をかけている*1。その政治的影響力の無さを考えると*2、銅像など兵馬俑のように建ててもらって問題は無いのだが、過去の人身売買取引を非難する像としては、まだまだイマイチな所がある。

中国人、朝鮮人、フィリピン人が手をつないだ像になっていて、今までの安婦像と比較すると造形はマシになっているのだが、第2次世界大戦中の日本軍の行為を非難するものとなっているので、中国人・インドネシア人・フィリピン人の像にすべきであった。占領地と内地/植民地で慰安婦問題の構造は大きく異なり、中国とフィリピンは占領地だが、朝鮮は植民地だ。日本・朝鮮・台湾の内地/植民地では、1930年代前半から前近代的な遊廓や遊女と言うシステムを、近代の軍事作戦に従事する兵士の娯楽として提供するために、慰安所と言うものが設置された。官憲が女性を連行したのか、親が娘を売り飛ばしたのかと言う違いがある。

伝え聞く所では、現地の華人系アメリカ人が主導して作ったものだが、しっかり歴史的な不幸をしっかり記録するものになっていない。米国の歴史教科書のハチャメチャな記述*3を見るに、朝鮮人慰安婦を含めると話がぐっと複雑になることすら知らないのであろう。従軍慰安婦問題は、時期や地域によって経緯や状況が変わる複雑な問題で、その中で朝鮮人慰安婦が倫理的な問題になったのも戦後ずっと経ってからと、左派活動家の手に余る面がある。ポーランドにあったドイツ軍将兵用売春宿のような単純な話ではない。もちろん何か政治運動していたいのであって、真面目に政治運動をする気はカケラも無いのは分かっているが。

*1米国:慰安婦像、受贈を決議 サンフランシスコ市議会 - 毎日新聞

*2慰安婦の売買を支えた前借金契約と芸妓家業契約は戦後すぐ違法になった。また、第2次世界大戦中の行為は戦時賠償もしくは、日韓請求権協定により国家賠償の対象にならない事が確認されている上に、アジア女性基金で人道的な面からの補償も行なわれた。韓国でアジア女性基金の活動に応じなかった元慰安婦がいるわけだが、そのうち存命の8割は、2015年12月の日韓合意を受け入れている。そもそも今更、日韓合意を破棄して新たな合意を目指せる状況でもない(関連記事:韓国政府は2015年12月の日韓合意を破棄できるのか?)。この意味で、日韓請求権協定の否定を目指さない限りは、勝ち取るべき目標が無い運動になっている。

*3マグロウヒル社の歴史教科書の記述が著しく不正確である事が問題になり、「19人の日本人歴史家有志」から公開質問状が出されたが、それに対しては音沙汰ナシである。

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