2017年6月15日木曜日

国家戦略特区諮問会議の有識者議員の証言で出てきた謎

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加計学園の獣医学部新設を巡り、よく分かっていない点が三つある。一つは、官邸が文科省に獣医学部新設を認めるように圧力をかけたのか否かだ。政治主導自体はおかしくないが、官邸は主導した事を否定している。一つは、獣医師需要が減少すると予測されているのに、獣医学部を増やす方向に舵を切った理由。一つは、既存学部が『広域的に存在しない地域』に限定した理由。こういう状況で、6月13日に八田達夫大阪大学名誉教授ら有識者議員が決定の妥当性を主張したのだが、官邸が文科省と折衝していたことが強く示唆する説明であったし、むしろ謎が深まる所があった。

  1. 加計学園と競合していた京都産業大は、「『広域的に存在しない地域』と限定されると関西圏で新設するのは難しい」と判断したため、学部新設を諦めたと報じられてきた*1。しかし、有識者議員の証言では、この条件では京都府と京都産業大も対象外ではなかったそうだ*2。山本地方創生相が「一校に限り」としたため、「長年提案を続けてきたことなどを踏まえ、今治市」となったとある*3京都府と京都産業大はずっと勘違いをしていた事になるのだが、これは本当であろうか?
  2. 国家戦略特区諮問会議で、獣医学部新設を認めるか否かの判断は下していない事は確認された。獣医師需要が減少すると予測されていることに関して、「示してくれと文部科学省に求めたが、合理的なお答えがなかった(原英史・政策工房社長)」とあり、「(一校限りという条件に関し)最終的には政治決定。山本(幸三)大臣(地方創生相)が決めたことだ(八田達夫・アジア成長研究所長)」とある。また、“怪文書”に関しては、「諮問会議では要所で首相の指示を受けつつ改革を進める。内閣府と文科省の非公式な打ち合わせで、首相の指示に言及していても何ら不思議ではない」と否定はしていない。

1. 認可基準第一条第四号の規定を廃止しなかった謎

獣医師養成数を絞る事により寡占市場になっており、既得権益者たる獣医師が過大な利益を得ているので、少数でも新規参入を認める事によりそれを削ろうと言うのが政策的な狙いだろうが、獣医学部の設立を無条件に許さない「大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準第一条第四号の規定」の削除をしていれば、獣医師会の恨み節しか出なかったであろう。岩盤規制と言うけれども、法律ではなく所轄官庁の規定に過ぎないやわらか規制だ。厚生労働大臣が一方的に廃止宣言をしたら、実のところ官僚には抵抗する術がない。

2. 不透明な選定基準と省略された需要予測は問題

混乱を避けるために段階的に新規参入を募ると言う話であったかも知れないが、京都府と京都産業大が誤解して諦めるぐらい不透明な基準を敷いたのは問題だし、この場合はやはり需要予測にあわせて供給量を決める必要があるはずだ。需要が増えていくのであれば、急いで供給量を増やさないと寡占からの利益は増えていくし、需要が減っていくのであれば寡占からの利益は自然と減っていく。八田氏も「獣医師の偏在などの課題があり、民主党政権時代も含め長年の懸案だった」と獣医学部新設の効能を指摘しているが*4、これも需要減で自然解消される。しかし、山本地方創生相は需要予測はしていないと国会で答弁した。医師の需要予測などは熱心にされているし、獣医師の需要予測も2007年のものはあるのにだ。安倍総理と加計学園の特別な関係が影響しているかは分からないが、政策的にチグハグな面があるのは間違いない。

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