2014年12月22日月曜日

リフレ派が知るべきアジア通貨危機の影響

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円安で輸出が伸びて景気が回復すると言うリフレ派の多くは、アジア通貨危機があったのにも関わらず、1997年から長く続く経済の不調が消費税率引き上げが起因だったと信じている。しかし、失業率が1998年から2002年まで急激に上昇していくのだが、産業別就業者数推移*1を見てみると、消費税の影響を受けない輸出に依存している製造業から先に雇用が減っていく。これに対して消費増税の影響は製造業の方が大きく受けると言う主張をしてきた人がいるので、輸出額と製造業雇用者数の関係を確認してみたい。1998年1月から輸出が低迷していき、同時に雇用者数が減少することから、雇用が国内要因で減り始めたとは言い難い事が分かるはずだ。

アジア通貨危機は1997年7月にタイから始まり、その混乱は2000年ぐらいまでは続いたのだが、1998年1月から影響を受けると言うのはタイミングが遅いように感じるかも知れない。これは輸出金額も製造業雇用者数も遅行指標で、先に受注が減って工場の稼働率が低下することから説明できる。最大で120万人程度の雇用削減は、当時の労働力人口の1.7%にあたる。通貨危機前に3.4%だった完全失業率は1999年12月に4.7%に達したが、製造業の雇用削減がいかに大きかったかが分かる。

不況の要因を全てアジア通貨危機のせいには出来ない。1997年は北海道拓殖銀行、山一証券、日産生命保険などがバブル崩壊の影響から抜けきれずに破綻しており、金融機関の自己資本比率が問題になっていった。消費税率引き上げの影響(駆け込み需要の反動と、実質所得減少の効果)も、少なくとも1997年の間は出ていたはずだ*3。しかし、アジア通貨危機の影響は大きく、それが無かったかのような言説は考え物だ。

そもそもリフレ派の多くは、円安によって輸出が回復して雇用が伸びると主張している。そうであれば輸出が低迷すれば雇用に大きな影響が出るはずで、それはアジア通貨危機の影響の大きさを認めなければ論理の一貫性が無いであろう。リフレ派の皆様は、何でもかんでも金融政策や消費税に起因すると主張すると、話に辻褄があわなくなってしまうことに気づくべきだ。

*1製造業の方が離職率は低いのだが、雇用調整はされている。

*21997年前後の貿易特化係数を見ると、鉄鋼・非鉄金属や化学製品は低いが、家電用電器機器で4割超、電器機械・一般機械が5割超、輸送機械が7割となっている(日本経済ウォッチ2012年10月号・図表3を参照)。

*3実質消費は1998年には増加に転じており、リーマンショックまで増えている。

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