2013年12月12日木曜日

セックスワーカーに避妊と感染症予防を心がけましょうとは言ってはいけません?

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社会学系の論者の主張は夢想の世界そのもののときがある。小松原織香氏が、婦人科医の河野美代子氏の若いセックスワーカーに対する避妊と感染症予防を心がけましょう、セックスワーカーの仕事は暴力に晒されるリスクがありますよと言う主張を批判している。小松原氏から見ると、河野氏がセックスワーカーを攻撃しているように思えるらしい。

問題のエントリーは『「風俗で働く」ことを怒ることは百害あって一利なし』で、ここで小松原氏は河野氏の「風俗で働く(若い)女性たちへの警鐘」が、(1)セックスワーカーへの偏見を強める、(2)セックスワーカーに対する婦人科受診のハードルをあげる、(3)殺人や性暴力の被害者への偏見の助長と言う二次加害を助長すると主張している。

河野氏の警鐘を確認しよう。『ああ、遅かった!!性風俗で働くということ』を見ると、コンドームを使う事もなく、性感染症にかかり客の子供を妊娠する若いセックスワーカーに、「プロとしての意識や、危険から身を守る知恵などがない」と怒っているようだ。『「性風俗で働くということ」その2.』を見ると、セックスワーカーが暴力被害に会いやすいことを述べている。

避妊と感染症予防の啓蒙は妥当に思える。産婦人科医がセックスワーカーに直接注意しているのだから、世間の偏見を強めることもないであろう。産婦人科受診のハードルが上がると言うのも理解できない。少なくとも同一人物が何度も河野氏のところに受診しているように書いてある。暴力被害に会いやすいことも、実態を理解しないでセックスワーカーになろうと言う人への警鐘としては妥当に思える。

小松原氏は暴力をふるう人が悪いのだからセックスワーカーに暴力被害の責任は無いと主張しているのだが、河野氏は性産業に従事するのを回避したり、出張形態のサービスを避ける*1ことによる犯罪対策を奨めてはいるように読めるが、犯罪被害者が責任を負うべきだと主張しているわけではない。

小松原氏自身も河野氏の警鐘をサポートしている。「客と(暴力をふるう)加害者は分けて考えなくてはならない」と主張する一方で、セックスワーカーが不当な客からの要求(≒暴力)に従わざるをえないと指摘しているからだ。

「無防備」に見えるセックスワーカーの中には、客からの不当な要求に従わざるをなかったり、競争に勝つために不本意ながら危険な行為をしていたり、情報を得る手段がなかったり、事実を知るのが怖くて情報を直視できなかったりする人もいる。

セックスワーカーに情報が無いのであれば啓蒙が必要だし、危険な行為を強いられるのであれば、安易に性産業に従事することへの警鐘は必要だ。ホテルなどへの出張形態よりも用心棒のいる店舗形態の方を選ぶという選択もある。河野氏の主張はごもっともと言う事になる。これで偏見を持つ人が出てきたとしても、偏見を持った人が悪いに過ぎない。

小松原氏の河野医師批判はわけがわからない。河野氏のエントリーも理路整然とした議論ではないが、セックスワーカーの抱える問題の指摘を、セックスワーカーへの中傷行為と捉えてしまっている。かなりの誤読を犯していると言う指摘も見かけたが、認知が歪んで夢想の世界に生きているようにさえ感じる。

*1「やはりデリヘルです」「密室に二人っきり」と言う部分から、河野氏は用心棒が常駐する店舗形態の方が安全と見なしているように読める。

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