2013年9月8日日曜日

政治信条は人間の演算能力を鈍らす

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ちょっと巧妙なテストを用いて、イェール大学法学部のDan Kahan教授とその同僚が、政治信条は人間の演算能力を鈍らすことを示したと、Mother Jonesで紹介していた。偏見は色々な思考に影響を及ぼすらしい。

質問方法から見ていこう。質問内容は、以下のような2×2の集計表を見せて、効果があるように思うか、無いように思うかを聞く。

この皮膚クリームの場合はニキビが改善したように思えるかを聞くわけだ。皮膚クリームを利用した患者は74.8%、利用しなかった患者は83.5%がニキビが改善したので、正しい答えはニキビが改善しなかった方になる。223と107を比較して、223の方がもっともらしいと思うおっちょこちょいは間違う。恐らく短時間で答えさせるので*1、難易度は高いはずだ。

同じ数字で、銃規制の質問も行う。銃規制の場合は犯罪を減らしたように思えるかを聞くわけだ。

皮膚クリームのパターンで数字から根拠を作る能力(SCT)を測り、銃規制のパターンで政治信条が認知に与える影響(ICT)を測るようだ。

ニキビ改善とニキビ悪化、犯罪増加と犯罪減少の文字を入れ替えた質問もあり、合計で4パターンの質問が用意されている。それぞれの被験者は1パターンのテストしか受けない。また被験者の数学能力は、どうやってかグレード付けがされている。

被験者はPolimetrix/YouGovに登録してある米国の1,111人の大人、52%が女性で、平均年齢が48歳。28%が共和党支持者、36%が民主党支持者、30%が無党派層だそうだ。26%がリベラルと答え、38%が保守と答え、27%が中間層と答えている。

結果は上図の通り。上段の皮膚クリームのパターンでは、数学能力(横軸;Numeracy score)が正答率(縦軸;correct interpretation of data)をほぼ決定している。下段の銃規制のパターンでは、その数学能力に関わらず、リベラルは“銃規制が犯罪を増加”と言う正答を選ばず(LD crime increases)、保守派は“銃規制が犯罪を減少”と言う正答を選ばない(CR crime decreases)傾向が分かる。なお論文中ではロジット回帰分析も行っているのだが、結果は上のグラフと整合的である。

223と107の数字だけを見て解答してしまいがちだが、間違った答えが政治信条と異なる場合には、75と21の数字も見て良く数字を吟味するインセンティブが発生すると、Kahan教授は考えているようだ。

ネットでも政治的な話題で数字を無視する人々は多いのだが、実は意識的にそう振舞っているわけではなく、無意識にそういう行動に出ているのかも知れない。

*1回答時間については論文中に記述を見つけられなかった。

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