2013年9月21日土曜日

ラムゼー曰く法人税は投資を減らす

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経済評論家の池田信夫氏が『法人減税の目的は「租税競争」である』と言うエントリーで、マクロ経済学を全力で無視する行動に出ている。現在はゼロ金利制約下にあるので理由をつけたら無視するのが妥当なのかも知れないが、ボケにつっ込んでみたい。

問題点は「法人税が40%から60%に上がったとしても、企業の目的は税引き前利益を最大化することだから、企業行動は変化しないのだ」と言っている所だ。これは動学マクロ経済学の基本モデルの一つであるラムゼー・モデルでは誤りになる*1。投資(=貯金)をしても将来のリターンが少ないと見なすと、人々は投資(=貯金)せずに消費に走るのだ。当然、企業も生産を縮小する。

ミクロ経済学の部分均衡モデルで企業の利潤関数を考え、利子率や賃金が外生的に決まるとしたら、法人税率に関わらず企業の投資水準は変化しないことになる。しかし、これでは閉鎖経済で法人税率99%でも企業は生産水準を落とさないという議論になってしまう。何はともあれ一般均衡モデルで考えれば利子率や賃金が変わるので、結論も変化してくる。

昔、池田信夫氏は動学マクロが重要と力説していた記憶があるのだが、たまには御自身の過去の主張も思い出していただきたい。また、企業が税引き前利益を最大化するならば法人税率を理由に海外進出はしないであろうし、法人所得税と個人所得税は二重課税で企業金融にゆがみをもたらすと言うならば企業行動に影響を与えている事になるので、池田氏のエントリーの文章は前後で矛盾したものとなっている。

なお、全ての企業が海外進出が可能と言うわけではなく投資への影響が限定的であること、相続税や利子所得課税の不十分さを補う効果があることから、法人税を見直す研究もある*2。ラムゼー・モデルが法人税(≒利子課税)よりも消費税(≒定率所得税)と言っているからと言って、結論が固まっているわけでもない。

*1詳しくはマクロ経済学者の斎藤誠氏がレクチャーノート的な資料を公開しているので、それを参照のこと。結論だけを確認したい場合は「15-4-3 ラムゼー・モデルにおける最適課税」を見ればよい。

*2関連記事:法人税と利子所得課税が不足している

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