2013年7月17日水曜日

ICRPはDDREFを“採用”している

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疑似科学ニュースが「ICRPはDDREF(線量-線量率効果係数)について触れている」「DDREFとLNT説を併記しているICRP」と主張しているのだが、モデルを強調するわりにはICRPの放射線防護モデルがどうなっているのか確認していないようだ。ICRPDDREFを“採用”しており、それに触れているだけでも、両論併記しているわけでもない。

以前のエントリーでも出した図をもう一度出そう。何回も出しているが、疑似科学ニュースのブログ主が見た気配は無いので。

ICRPは科学的なリスク推定モデルで線量率効果を考えて二次式のモデルを、放射線防護ではLNTモデルを採用している。DDREFはLNTモデルを、二次式のモデルに近づけるための係数だ。だからDDREFも併記しているのではなくて、ICRPはDDREFを採用している。DDREFなしのモデルは提示していない。

線量率効果については、ICRPは動物実験の結果についても言及している。動物実験はランダム化比較試験(RCT)*1になっているため、計量モデルや理論モデルの妥当性に関する議論の余地は無い。広島長崎LSSデータの信頼性のみで線量率効果が主張されているわけではないから、ラドンやホルミシス効果を持ち出して同じだと主張しても意味が無い*2

何はともあれDDREFは明らかに採用されているのであって、それを言及や併記と言う風に扱いが軽いように示すのは強弁であろう。実験や観測と矛盾する説を、自分の信じる説がモデルが重要だから有力と主張するのも、詭弁に過ぎない*3。詭弁や強弁を駆使するのは擬似科学の主唱者のやり方だが、疑似科学ニュースは同じ方法論に陥っていたりしないであろうか?

追記(2013/07/17 21:14):ようやくICRPの防護モデルの作り方を認識してくれたようだが、幾つか私が主張していない事を、主張しているように書いてあるので追記。

ICRPに載ってる図とかじゃなくて。自分が書いた図を「ほら、これが証拠だ」とか意味不明。

文書で推定方法を書かれても理解できないようなので、図を描いて説明している。

証拠の方はICRP publ. 60にDDREFを採用していると明記してあるし、DDREFを採用したと言うことはリスク推定で非線形モデルを採用したと言うことになる。

そもそも全体の関係を見れば直線になるのは揺るがないわけで、低線量で下側にたわんだ曲線になる事自体が、どれほど重要視すべきか。

80年代までICRPはLNT仮説に準じていたが、それ以降はDDREFを採用、つまり非線形モデルを採用している。動物実験の結果と長崎広島LSSデータから、線量率効果を考えるのが主流になっていると言えるであろう。

DDREFの値(=2)についても、ICRPの書き方を見れば、強固な根拠があるわけではない。

推定量に幅はある。BEIR VII(2005)では培養実験で2~4、動物実験で3、広島長崎LSSデータで1.5のDDREFと見なしている。DDREFを適応する最大被曝量でも変化するので値は流動的だが、線量率効果を認める事にはコンセンサスがあるようだ。

最近はDDREFをプッシュしているようだけど、閾値説とDDREFは相容れないと思うのだけどね。

閾値があるとしても、線形モデルよりは非線形モデルの方が近くなる。また、低線領域のLNT仮説に根拠が無い事を指摘しているので、閾値説を主張してきているわけでもない。閾値なし非線形モデルでも、閾値あり直線モデルでも、LNT仮説は否定される。

ありもしない矛盾を根拠に、ICRPの主張は科学として信頼性がないと言い出す。

ICRPが矛盾しているなんて書いていない。またICRPは信頼性が無いとも書いていない。ICRPは科学的リスク推定で非線形モデルを、防護モデルでLNTモデルを採用していると指摘している。便宜的な理由で使い分けをしている事を、オトナの対応と表現している。

防護モデルだから疫学的リスク推定をするべきでないと戒めているのも、一貫した姿勢であると言うこと。それを勝手に「社会的影響が大きすぎるから」疫学的リスク推定を禁じていると陰謀論を展開していたのは、疑似科学ニュースであったはずだ。

追記(2013/07/18 15:22):LNTモデルが単なる直線近似でしかないと事に気付いたら、あと一歩。

uncorrelatedの図でわかることは、二次曲線を複数の(2本の)直線に分けて近似するという話だよね。

それがICRPはLNTモデルよりも二次曲線の方が現実に近いと考え、二次曲線をリスク推定に採用している事を示している。LNTモデルが“科学的”なのであれば、そうはしないであろう。近似前と近似後、精確なのはどちらであろうか?

あなたがICRPは矛盾しているとか言い出したこと。

矛盾とは書いていない。リスク推定モデルと防護モデルを使い分けていると指摘している。これを矛盾と見なしているのは疑似科学ニュース。

DDREF=1も含めれば(つまりLNTモデル)、コンセンサスはあるだろうね。問題はDDREFの値が決定できないこと。

BEIR VIIもICRPもDDREF>1と考えているし、80年代後半にDDREFが採用されたことから考えても、DDREF>1でコンセンサスがあるように思える。

非線形モデルを主張することが、低線量域でのLNTモデルを否定する根拠になると考えるのが、そもそも科学的な思考ができない証拠なんだけどね(苦笑)。

非線形モデルとLNTモデルが排他的な事は、数式的には明らか。モデルを強調するのであれば、何と何が整合的に成立しうるかは考えるべきであろう。

ICRPの主張は科学じゃないというのは、3.11のショックで現実が認められない人々が作り出した妄想。

そうであれば、ICRPの放射線防護モデルは“線量率効果”に基づいているので、“線量率効果”の存在を認め、LNT仮説を否定するべきでは無いであろうか?

繰り返し指摘しておくけれども、ICRPは、

  1. 科学的リスク推定では二次曲線を採用
  2. 放射線防護ではLNTモデルを採用
  3. 両者をつなぐ係数としてDDREF=2を採用
  4. LNTモデルによる疫学的リスク推定は禁止

している。ICRPが科学的とするならば、上の四点も科学的と言うことになる。これは疑似科学ニュースの今までの主張と合致するであろうか?

追記(2013/07/21 04:00):論理の一貫性から言うと、疑似科学ニュースは「LNTモデルが正しいのであるから、ICRPは間違っている」と主張すべきでは無いかと思いつつ返事。

あなたのいうLNTモデルというのは、二次曲線を2本の直線で近似した直線のことを言ってるの?たとえば2本の直線のうち原点に近い方の1本がLNTモデルの直線である、と。そんなことあるわけないじゃん。そもそも2本になる時点でリニアじゃないだろうに(苦笑)。

ICRPが採用している防護モデルは、そういう苦笑したくなるようなLNTモデルになっている。線量率効果を認めるとは、そういう事になる。これは疑似科学ニュースの基準で、LNTモデルと言えるのであろうか?

だからICRPもLNTモデルを正統なモデルとしている。

繰り返しになるが、ICRPが採用している放射線防護モデルは、広島長崎LSSデータから推定された二次曲線からDDREFを使って導出された、不連続な二本の線によるLNTモデルになる。これは疑似科学ニュースの言うLNTモデルと言えるのであろうか?

つーかあなた、ホントにそんなアホなの?こんな初歩的なところから始めないとダメなの?こんなこという必要ないと思ってたけど、LNTモデルというのは低線量域から高線量域まで、切れ目や折れ目のない"一本"の直線で近似するモデル。だからDDREFは直線部分があったとしても、LNTモデルではない。LNTモデルの直線の傾きは、DDREFの2本の直線の中間ぐらいになるはず。DDREFの2本の直線のどちらかが、LNTモデルの直線というわけではない。

6月23日の「ICRPのLNT仮説への懐疑は、DDREFの採用から分かる」からずっと説明して来た事なのではあるけれども、ICRPの放射線防護モデルはLNT仮説と整合的ではない。繰り返すが、これは疑似科学ニュースの言うLNTモデルと言えるのであろうか?

コンセンサスがある、ないはニュアンスが含まれるから置いておいて、モデルの完成度としてはDDREFよりもLNTモデルの方が高い。

80年代後半にICRPが科学的なリスク推定においてLNTモデルを捨てて非線形モデルを採用した理由を、擬似科学ニュースは説明できるのであろうか?

価値があるからICRPもDDREFについて言及しているわけだ。

言及ではなくて、防護モデルに“採用”しているわけだが、なぜ採用している事を認められないのであろうか?

一番の問題は非線形モデルがまだ確立されていないから。LNTモデルよりも精度が高く、LNTモデルと同程度の完成度を持つモデルができているなら、そちらを採用すると思うよ。

以前の疑似科学ニュースの主張だ。ICRPの放射線防護モデルは「そもそも2本になる時点でリニアじゃないだろうに(苦笑)」なのでLNTモデルとは言えないとすると、非線形モデルは精度が高く完成度が高い事にならないのか?

で、結局あなたはなにを主張したいのか、よくわからないのだよね。

一貫して指摘していることは同じで、近年の研究(培養実験、動物実験)では線量率効果の存在が確認されており、ICRPなどの国際機関でもDDREFとして存在を認めるようになっており、線量率効果とLNTモデルは共存しえないことから、現在ではLNT仮説は有力とは言えない。

追記(2013/07/21 14:50):返事が来たのだが、ICRPの放射線防護モデルは一つしかないことに、疑似科学ニュースは気付いていないらしい。

そしてなぜICRPが2つのモデル(LNTモデルとDDREF)について言及してるかも、これまで述べてきたはず。まあ俺が一生懸命説明したことも、多分あなたの頭には入ってなかったのかもしれないけどね。

ICRPの放射線防護モデルは、DDREF=2を採用した一つしかない。疑似科学ニュースは、DDREFを採用したらLNTモデルではないと言う。ならば、ICRPの放射線防護モデルは、疑似科学ニュースの意味で、LNTモデルでは無いと言うことになる。

だから捨ててないじゃん。ICRPはLNTモデルを採用している。ICRP自身がそう言っている。

DDREFが入っていない放射線防護モデルはICRPは提示していないのだが、疑似科学ニュースにとってDDREFを採用した放射線防護モデルはLNTモデルになるのであろうか?

ICRPがLNTモデルの妥当性を文章で強調しつつ、実際には防護モデルにDDREFを採用しているので混乱するのはやむを得ない部分もあるのだが、“ICRPのLNTモデル”≠“疑似科学ニュースのLNTモデル”になっている事には注意するべきであろう。

追記(2013/07/21 23:00):返事が来たのだが、ICRPのLNTモデルにDDREFが施されている事に納得していないので、ICRP Publication 99の前文の一節を引用してみたい。

The LNT hypothesis, combined with an uncertain DDREF for extrapolation from high doses, remains a prudent basis for radiation protection at low doses and low dose rates.(拙訳:高線量域からの外挿のための不確実なDDREFを組み合わせたLNT仮説が、低線量・低線量率における放射線防護のための堅実な基礎を残す)

来年あたりにDDREFが無くなっても不思議の無さそうな書き方なのだが、現在のICRPの放射線防護モデルはこうなっている。ICRPの放射線防護モデルは、疑似科学ニュースの言うLNTモデルなのであろうか?

追記(2013/07/22 13:37):返事を見る限り、ICRPの放射線防護モデルが“DDREFを組み合わせたLNT仮説”だと納得してもらえたようなので、昔の疑似科学ニュースの発言を振り返りたい。

LNTモデルよりも精度が高く、LNTモデルと同程度の完成度を持つモデルができているなら、そちらを採用すると思うよ。 - 続々・ICRPはダブルスタンダード?

ICRPは、“疑似科学ニュースの言うLNTモデル”を採用しておらず、“DDREFを組み合わせたLNTモデル”を放射線防護モデルとして採用している。6月23日の「ICRPのLNT仮説への懐疑は、DDREFの採用から分かる」から、ずっと指摘しているのだが。

そもそも俺は専門家ではないから、俺自身が直接個々の論文を正しく評価できるとも思えない。-続々・線量率効果

線量率効果を示す論文の是非が分からないとして、ICRPは線量率効果を認めているし、DDREFの入った防護モデルを採用している。

防護モデルと科学モデルを区別する意味があるとは俺には思えない。どうも防護モデルというのは科学に反したモデルというニュアンスで使っているようだけど、科学に反した防護モデルなんて誰も信用しないだろうに。-続々々々々・やっぱuncorrelatedは科学が苦手

ICRPの防護モデルを科学的モデルと見なすのであれば、疑似科学ニュースの論理構成で、もはやLNT仮説は有力では無いと言う事になる。

*1汝、ランダム化比較試験を知ることなく現代科学を語ることなかれ

*2ホルミシス効果については一貫した実験結果が得られていないように思えるし、ラドンに関しての疫学調査は無数の交絡効果が考えられるため信頼性に欠ける。

*3対立する仮説もモデルになるため、モデルである事自体は、真実性を示すわけではない。

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