2013年6月12日水曜日

所得税の累進性の低下が貧富の格差を生み出した!

このエントリーをはてなブックマークに追加
Clip to Evernote
Pocket

著名経済学者のSaez氏が、所得税率の低下が貧富の格差を生み出したとプレゼンしている動画が回って来た(Youtube#1, #2, #3)。アクセス数は多くは無いのだが、高税率を毛嫌いする新自由主義者と言い合う材料には事欠かないので、視聴する価値はあると思う。

税率を上げたら租税収入が増えるわけだが、勤労意欲を削ぐ、租税回避が発生する、経営者が労働者から税金分を搾取しだすなどを懸念する人々もいるらしい。ここ40年間ぐらいで先進国の税率が概ね引き下げられたので、それらが本当かを検証している。その内容を見ていこう(グラフはPiketty Saez and Stantcheva(2011)から転載)。

まず、国際的に最高税率と課税前所得格差は負の相関を持つようになった。

横軸が最高限界税率、縦軸が上位1%の課税前所得シェア。

次に、最高税率の減少は、成長率を高めていない。1960年~64年から2006~10年の1人あたりGDP成長率と、最高税率の変化は関係がない。

横軸が最高限界税率の変化、縦軸が1人あたり年率平均GDP成長率。

最後に、レーガノミクスで所得税を引き下げた結果、上位1%の税引き後収入が飛躍的に増加し、下位99%の税引き後収入が横ばいになった。

横軸が年で、縦軸が成人あたりの実質課税前所得。黒丸が上位1%で、白丸が下位99%。

景気の変化に上位1%の所得が大きく変動すると言う話は省略。

結論は、

  1. 米国の歴史と国際比較によると、税制が所得格差の形状を決定する重要な役割を果たす。
  2. 高い最高税率は、経済成長の犠牲なしで、課税前の所得格差を減じる。
  3. グローバル化した世界では、累進課税は国際協調が必要。
  4. 上位1%の収入がアンフェアで、下位99%に有害だと納得できたときだけ、累進課税の強化に賛成である。

と言う事らしい。三番目、四番目の理由は聞き落としたのか分かりません。米国は外国生まれの人々が12.9%ぐらいいるので移民の影響も大きい気がするのだが、増税ができるぞと財務省が喜びそうなお話だ。

Saez氏は所得税と限界税収の研究も行っており*1、この道の大家である。

0 コメント:

コメントを投稿