2010年11月4日木曜日

アルコールが麻薬よりも危険な薬物?最近の研究で意外な結果が示される

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著名な医学雑誌Lancetに掲載されたインペリアル・カレッジ・ロンドンのDavid Nutt教授らの研究が、MCDAを用いて、英国の主な禁止薬物を(1)身体的影響、(2)中毒性、(3)社会的悪影響で評価しスコアをつけたところ、アルコールが麻薬よりも危険な薬物だと示しており、ちょっとした議論を呼んでいるようだ。論文では、英国のA~Cで表される危険薬物分類がNutt教授らのスコアと整合性が無い事から、薬物規制が科学的根拠を欠くと主張している(ScienceDaily)。

分類されたのはアルコール、タバコ、ヘロイン、コカイン、クラック、クリスタル・メス、スピード、大麻、ガンマヒドロキシ酪酸(GHB)、精神安定剤(バリウム)、ケタミン、メタドン(ヘロイン中毒の治療薬)、mephedrone、ブタン(BDB? bk-MBDB?)、アラビアチャノキ(高揚作用のある樹木)、エクスタシー、同化ステ ロイドホルモン、LSD、ブプレノルフィン、マジック・マッシュルームの20種類の禁止・合法薬物だ。日本でも、アルコールとタバコ以外は禁止薬物になっている。

比較的、身体的影響や中毒性の低い麻薬を合法化しようとする動きは以前からある。例えばオランダでは大麻は合法であり、米カリフォルニア州でも先日、住民投票が行われ、結果は否決であったが議論は続いている。米国では取り締まりのコストが膨大なため、逆にマリファナ税で租税収入にできないか考える人もいる。また、最近はLSDの治療利用も臨床実験されている。もちろん、ライト・ドラッグから重度なドラッグに移行する可能性も指摘されており、それをサポートする研究もある。社会的風潮として麻薬を容認しつつあるようで、Nutt教授らの研究はそれをサポートする可能性が高い。

しかし、この手のスコア化は研究者が恣意的に調整できる範囲が大きいのも事実で、Nutt教授らは専門家の総意に基づいた分類を行ったというが、追随する研究で再評価が必要であろう。

素人目にも、幾つか問題が感じられる。まず、合法薬物と非合法薬物を比較する術が無い。例えばコカインは非合法薬物なので、利用者は潜伏しておりデータが無い。病院に担ぎ込まれたアルコール中毒者とコカイン中毒者は比較できるであろうが、世間一般にいるアルコール愛飲者とコカイン利用者は比較できないはずだ。次に、(1)と(2)の結果から出てくる(3)社会的悪影響を評価している時点で、例えば中毒性を二重に評価しているように感じる。単純に身体的影響で評価すべきなのでは無いであろうか。

とはいえ、薬物規制に科学的分析や議論が持ち込まれたことは、悪いことではない。ただし、ドラッグ中毒の人々は合法化の道筋がついたとは思わない方がいい。本当にアルコールが麻薬よりも危険な薬物なら、アルコールの方を禁止するという政策もあり得るからだ。

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