致命的な構造欠陥を引き起こすコンクリートの亀裂を修復する目的で、遺伝子改造された
以下は修復過程の顕微鏡写真(io9)だが、ちょっとづつ埋まっているように見える。
BacillaFillaは、コンクリートの亀裂に深く侵攻し、炭酸カルシウム(CaCO3)とレバンスクラーゼ(levansucrase)の接着剤を生成し、細長いフィラメント状になる。炭酸カルシウムは、コンクリートと同じ割合になるため、理想的な充填材になるそうだ。フィラメント状のBacillaFillaは、繊維強化コンクリートの化繊と同じ伸張力があり、炭酸カルシウムを強化する。レバンスクラーゼは炭酸カルシウムとフィラメント状のBacillaFillaを固める。
元になった枯草菌(B. subtilis 168)の胞子は、コンクリートの強いアルカリ(高いpH)に細胞が耐えるので、理想的な格納と輸送手段であるとのこと。機能していないswrA、sfp遺伝子を修復し、運動性を持たせたそうだ。クオラムセンシング・ペプチドのサブチリンがトリガーとなって、サブチリン誘導プロモーター遺伝子から群集応答が発生するようになっており、上方制御されたSR1、rocF遺伝子がアルギニンと尿素を生成し、外部の炭酸カルシウムの沈殿を増加させる。SacB遺伝子が細胞外のサッカロースをレバンスクラーゼに変換する一方で、YneA遺伝子の過剰作成がBacillaFillaをフィラメント状の表現型にするそうだ。なお、キルスイッチが組み込まれているので、野生化する可能性は無いとのこと。
学生が開発したそうだが、バイオテクノロジーは医薬品・食料・エネルギーだけではなく、鉄筋コンクリートの建物の補修にまで応用されるようになりそうだ。既存のひび割れ補修材と比較して優位な点がどれぐらいあるかは分からないが、今後も意外な分野に応用されていくのだろう。
2 コメント:
読みは「こそうきん」では?
ご指摘ありがとうございます。訂正しました。
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