2010年6月7日月曜日

スペースシャトルの後継機

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何度も大きな事故があったものの、スペースシャトルが宇宙計画の花形であったのは間違いない。しかし有人シャトルを往復させるというスペースシャトル計画自体に無理があり、機体の老朽化も進んだので2010年で退役する事が決まっている。

スペースシャトルが担ってきた宇宙ステーション計画などのミッション自体は残るので、後継機が開発・投入されてきている。そしてスペースシャトルが多彩なミッションをこなせる多機能な機体であったため、その後継機はバリエーションに富むことになった。

まず、宇宙ステーションに宇宙飛行士を送迎するミッションは、当面はロシアのソユーズ(下の写真上)、将来的にはSpaceX社のFalcon9(下の写真下)ロケット/Dragon輸送機に引き継がれることになった。

次に、宇宙ステーションに物資を運ぶ機能だが、与圧が必要な小型の機材や軌道修正用の燃料などはロシアのプログレス輸送機(下の写真上)や、ATV(欧州補給機、下の写真下)を使う事になっている。ATVの方が新型機なので大容量なので、今後はATVが主力になると考えられる。

また、与圧が不必要な機材や、暴露実験装置などの大型の機材の運送は、日本のHTV(下の写真)が使われるようだ。HTVは自動ドッキング装置を使わないことで、宇宙 ステーションとの連結口を大きくとることが可能になり、実験装置の搬入などで重宝されるようだ。

実はスペースシャトルは、軍事利用もされてきたようで、国防省も独自の計画を持っているようだ。X-37Bという無人スペースシャトル計画だ。スパイ衛星の回収でもするんだろうかという感じだが、軍事利用だけに詳細は不明。

こうして後継機を見るとスペースシャトルの多機能性が良くわかり、運用を停止するのはもったいない気がする。しかし、その運用コストは膨大で、それが理由で廃止されるらしい。

一見、スペースシャトルは再利用可能な機材なので 、安上がりな感じがする。しかし、無理に再利用をするためか、逆に1回の打ち上げ費用は高くなっており、シャトル自体の建造コスト抜きで、4億ドルとも言われている。日本のH-IIAが1億ドル前後になっているので、圧倒的に高いと言えるであろう。また有人宇宙船なので、不必要に宇宙飛行士を搭載することから、事故発生時の人道的・政治的コストも大きいことは看過できない。スペースシャトル計画で得られた科学的な発見は大きくないという批判も指摘しておこう。

こうして見ると宇宙開発も、膨大なコストを払って夢を追いかけるフェーズから、経済的な制約で行われるようになってきたことがわかる。スペースシャトル後の多様な任務にあわせた、多様な宇宙機は、少々不格好でもニーズにあわせて最適化された現代的な技術と言えるのかも知れない。

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