2024年11月9日土曜日

政策でもディベートでもカマラ・ハリスは賛意を得ていたが、支持は集められなかった

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2024年米大統領選挙はトランプ前大統領が勝利したわけだが、バイデン政権についてだけではなく、負けたカマラ・ハリス副大統領への非難で的外れなものが多いので指摘したい。

ハリス氏はディベートが弱いと言う話がされているようだが、テレビ討論会では多くの視聴者がハリス候補が勝利したと見なした*1。主催したCNNがリベラル系なので司会者がハリス氏を応援したという主張もあるが、トランプ大統領は3回目のテレビ討論会を(主催の変更ではなく)拒絶したし、トランプ陣営からも失敗の声があがっていた。なお、2020年の米大統領選挙の副大統領同士のディベートでも、ハリス氏はベンス氏に負けたとは見なされていない*2。元検事だけにハリス氏はディベートに弱くない。

政策がダメだったと言う話も聞こえるが*3、ハリス氏の政策の方が、トランプ氏の政策よりも人気であった*4。世論調査で、ハリス氏の政策6つとトランプ氏の政策6つを、どれがどちらの政策か示さずに並べて支持するものを選んでもらったところ、人気の5つのうち4つがハリス氏のものであった。個々の有権者は、両候補の主張をよく吟味していないか、候補者の政策は重視していないことが分かる。インフレ率の低下に関わらず61%がインフレ加速していると答え、景気後退していないのに49%が景気後退していると答えており、経済政策に本当のところは関心が薄そうだ。

ただし、ハリス氏の方が政治家として弁が立つとは言えない。ハリス氏は主張が不明瞭と捉えられていたようだし、トランプ氏よりも使う語彙が難しいという指摘がされていた。ワードサラダと言うか、会話のキャッチボールが成立していないと捉える人々もいた。建前や曖昧な言葉だけでは「私はあなたたちの味方ですよ」と言うメッセージを有権者に受け取ってもらえない。ディベートで相手を言い負かしても同様。それどころか、問題に取り組んでいる姿勢を見たい人々がいることや、取り組んでいる姿勢を見せる重要性を理解していなかった可能性がある。2021年にインタビューで、移民問題担当のハリス氏が、不法移民が押し寄せるメキシコ国境を視察していないと指摘された後、それが問題だとは思わないと返答し、民主党員を含めて多くの人々の顰蹙を買った*5

選挙結果は複合的な要因で決まるのでハリス氏の言葉が結果を左右したかは定かではないが、ハリス氏のスピーチやインタビューが減点になってきた側面はある。(ヒラリー・クリントンをお手本にしたらしい)敗北宣言のスピーチが、もっとも心打つスピーチであったと評されているぐらいだ。

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