2024年9月28日土曜日

自民党総裁選での高市早苗の躍進から分かること

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派閥解消と言うことで組織的調整が抑制された異例の2024年の自民党総裁選は、石破茂氏が5度目の挑戦で選任されることになった。2位は高市早苗氏となり、決選投票では僅差の惜敗となった*1。石破氏も高市氏も知名度が高く、大臣経験者で党の重役も勤めてきたわけで、結果自体はおかしくはない。しかし、興味深い点もある。

高市氏が一次投票の党員投票では3割弱で1位、議員票では2割弱で僅差の2位であった。決戦投票では議員票の45%の173票と都道府県票の45%の21票を得ている。都道府県票の租票数は石破氏よりも高市氏の方が多く、計算方法で石破氏の票が多くなった。よくある選挙結果だ。

この選挙票数からだけでは大したことは言えないが、高市氏は他の候補者と際立って異なる性質がある。つまり、安倍元総理の熱心な支持者として長らく過ごし、2021年の総裁選では実際に安倍元総理からの支持を得ていて、安倍元総理の暗殺後も後継者として印象づけようとしてきた。高市早苗氏への支持は、2012年12月から2021年10月までの安倍–菅内閣の路線への支持と考えることができる。岸田総理も国葬儀を行うことで、党内外の安倍元総理の支持者の懐柔を行った(と邪推している)が、政策や政治手法は踏襲していない。

高市早苗氏は安倍政治の継承者であろうとしている点で、他の政治家と大きく異なる。今回の選挙結果は、自民党で安倍政治がどれぐらい支持されているか、容認されているかを示唆するものだ。自民党員の2割は強く安倍政治を懐古しており、自民党議員の半数弱が安倍政治の再開を望むか容認していることが分かる。自民党員でも8割ぐらいはアベノミクスは過去の手法と思っていると見るべきか、半分はまた繰り返してもよいと思っていると見るべきか解釈は分かれると思うが、自民党内の安倍政治の評価を知るひとつの情報になっている。

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