2021年10月20日水曜日

日本共産党の皆さん、「子どもを性虐待・性的搾取の対象とすることを許さない社会的な合意」は既にあるよ

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日本共産党が2021年10月31日の第49回衆議院議員総選挙にあわせた総選挙政策で、非実在児童ポルノの規制を訴えていると話題になっている*1。表現の自由戦士の皆さんの批判をざっと眺めてみたのだが、さらっと入れられている誤った前提に気づいていないようだ。「非実在児童ポルノは…誤った社会的観念を広め」に気をとられすぎ*2

問題になっている第7章「女性とジェンダー」にある文を、確認しておこう。

現行法は、漫画やアニメ、ゲームなどのいわゆる「非実在児童ポルノ」については規制の対象としていませんが、日本は、極端に暴力的な子どもポルノを描いた漫画やアニメ、CG、ビデオ、オンライン・ゲーム等の主要な制作国として国際的にも名指しされており、これらを適切に規制するためのより踏み込んだ対策を国連人権理事会の特別報告者などから勧告されています(2016年)。非実在児童ポルノは、現実・生身の子どもを誰も害していないとしても、子どもを性欲や暴力の対象、はけ口としても良いのだとする誤った社会的観念を広め、子どもの尊厳を傷つけることにつながります。「表現の自由」やプライバシー権を守りながら、子どもを性虐待・性的搾取の対象とすることを許さない社会的な合意をつくっていくために、幅広い関係者と力をあわせて取り組みます。

子どもの年齢がはっきりしないが、現行法か条例で違法となっていて、かつ、合法にしようと言う目だった運動はない。「子どもを性虐待・性的搾取の対象とすることを許さない社会的な合意」はある。非実在児童ポルノ(児童性虐待描写物)を表現する自由を擁護していた人が、勢い余って「小児性愛者であれ、同性愛者であれ、社会は同じように包摂するものでなければならない」と言い出していたりするので誤解されそうだが、小児性愛を同性愛と同じように社会包摂する気の人はほとんどいないはずだ。

第7章のほかの箇所と比較すると、ここだけ異質だ。「―――」がある段落の後、見出しの後でない所に現状説明があるわけで、文章の構造が他と違う。他は政策集らしく国会で法律をつくる/行政が指導・監督するととれる主張だが、ここだけ「力をあわせて取り組みます」と誰が何をするのか明瞭ではない。つまり、批判されている部分は、かなり突飛なもので、無理に捻じ込んでみました感があふれている。

日本共産党は今まで非実在児童ポルノ規制に反対してきており*3、今回の総選挙政策の別の箇所でも「「児童ポルノ規制」を名目にしたマンガ・アニメなどへの法的規制の動きに反対します。」と明記してあり、共産党への問い合わせでは非実在児童ポルノの規制を意図したものではないと回答をしている。日本共産党の方針が変わったわけではなく、日本共産党の中にも表現規制派フェミニストに影響を受けた人々がいると言う程度の話だと思うが、日本共産党内部での表現規制派フェミニストの影響力をそぐために、批判はしっかり加えておこう。

追記(2022/06/10 23:06):選挙が半年以上経つのに、ABEMA NEWSに出演した日本共産党・吉良よし子常任幹部会員の以下の弁解が、日本共産党が非実在児童ポルノを儲からなくしようとしていると非難され続けているのだが、国語的にはそのようには読めない。

吉良氏は「矛盾はない。ジェンダー政策の部分で言っているのは、子どもに対する性暴力は絶対許さないということだ。児童ポルノも子どもへの性暴力だから許されないということだ。ただし、児童ポルノという言葉を使った表現規制ということに対しては明確に否定している。表現の自由を守り抜くのは当然だし、(非実在)児童ポルノを無くせば子どもへの性暴力も無くなるという話ではない。どう解決していくかはクリエイターも含めて国民的に議論していくべきだ。具体的には、子どもたちや一般の人たちの目に触れないような場所に置くゾーニングというやり方もあると思うし、“こういう表現は本当にまずいよね”“儲からないよね”という合意ができれば、クリエイターの皆さんも作らなくなると思う」と答えた。

マンガやアニメであってもゾーニングは既にされているので事実認識がおかしいが、国民的に議論しろとしか言っておらず、日本共産党として議論の方向を定めるようなことは言っていない。「…という合意ができれば」は「…という合意をつくる」事を意味しない。「…という合意が必要」も意味しない。人々に悪いもので、実は収益に貢献していなければ、「クリエイターも含めて国民的に議論」することで、クリエイター含めて納得して自粛すると言う予想が語られているが。

追記(2022/06/12 09:14):非実在児童ポルノと言えないジャンルの話だと思うのだが、日本共産党の人は『月曜日のたわわ』を購入した時点で離党させられると主張している人々がいるのだが、ある地方議会議員の「私がふじすえ参議院議員と同じような行為をしたら…議会の品位を貶めたと辞職勧告されるのは間違いない」と言う話に過ぎず、共産党の方針とは認められないものである*4。購入したことではなく、それをSNSでアピールした事が品位を落とすと主張しているので、創作の自由の話とは言えないし、一人の地方議会議員の私的な意見でしかない。

追記(2022/06/13 21:24):2013年に、漫画・アニメなど創作作品の規制につながる「調査研究」も行うことが明文化された児童ポルノ禁止法改定案は自民、公明、日本維新の会の3党共同提案で国会に提出され(ITMedia)、民主党や日本共産党などの反対に関わらず可決されたのだが、なぜか表現の自由戦士の皆様は日本共産党にだけ当たりが強い。

追記(2024/03/15 05:53):2008年に民主党の村井宗明衆院議員(現在は引退)がアダルトゲーム規制の請願を、2017年に自民党の金子恭之議員が都道府県が条例でやっている表現規制を法律に引き上げる青少年健全育成基本法の制定に関する請願を、2022年に国連勧告にしたがった児童ポルノ規制を求める請願を福嶋みずほ(立憲)、寺田静(無所属)、佐々木さやか(公明)、打越さく良(立憲)議員が紹介議員になって出しているが、日本共産党の議員の具体的な活動はない。

追記(2024/03/15 05:24):この問題で共産党を何年間も非難している人々は、第7章「女性とジェンダー」で提示される問題を表現規制以外で解決できないように考えているようなのだが、「子どもを性欲や暴力の対象、はけ口としても良いのだとする誤った社会的観念を広め」るのが問題としているので、そのような誤解をしないように、セクハラ研修やセクハラ防止ポスターのように、児童性虐待の害悪を啓蒙するという手もある。

*1「非実在児童ポルノ」めぐる日本共産党の政策紹介ページが議論呼ぶ 「誤った社会的観念を広める」(1/2 ページ) - ねとらぼ

*2なお、「現実・生身の子どもを誰も害していないとしても・・・子どもの尊厳を傷つける」として、具体的に何がどのように傷つくのか不明瞭だという問題もある。

*3追記(2022/06/11 01:48):忘れている人々が多いのだが、日本共産党は2010年の石原都政での漫画やアニメの性的表現を規制する「青少年健全育成条例」一部改定案に反対していた(しんぶん赤旗)。

*4香川県のゲーム規制条例は自民党議員と公明党議員の賛成多数で可決されたが、一人ではなく多数の地方議会議員の投票で示されているのにも関わらず、ゲームのプレー時間規制は自民党と公明党の方針とは捉えられていない。

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