2018年9月21日金曜日

トリクルダウンが起きなければアベノミクスは失敗だが、アベノミクスはトリクルダウンの政策ではない

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再分配政策ではなく自発的な経済活動を通して、富める者の富が貧しい者にも渡ることを、トリクルダウンと言う。

日本アカデメイヤが2013年12月19日に主催した記者会見で、安倍総理は「大企業の業績の果実が国内の中小小規模企業のその従業員に行き渡らないようであればアベノミクスは失敗である」と語っていたので*1、アベノミクスはトリクルダウン狙いの政策だと、少なくない人々が理解していた。しかし、2018年9月14日の自民党総裁選の討論会で「私はトリクルダウンなんて言った事はない」と言ったと話題になっている。

アベノミクスに再分配政策の強化が含まれるのであれば、発言に矛盾は無いが、再分配政策の強化はほぼ行なわれていない。富める者の富に関係なくタイムラグで貧しい者にも利益が出ると言う政策であれば、再分配政策なしでもトリクルダウン政策にならないかも知れないが、「大企業の業績の果実が…行き渡らないようであれば」と言ってしまっているのでダメである。

トリクルダウンと言う言葉の意味をよく理解していなかったか、5年前の発言は覚えていないかどちらかであろう。安倍総理は、特に自分の過去の言動をよく覚えていないときがある*2

*1大企業の利益が大きく伸びる一方で、中小企業の利益はそうではないと言う指摘がある(宮嶋(2016)『大企業と中小企業の設備投資における「逆転現象」の背景』みずほインサイト)。

*2安倍・ブッシュ会談後の記者会見の内容を忘れて国会答弁をしていたことがある。

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