2018年9月26日水曜日

人気ブロガー「大学に行かずに有料オンラインサロンに参加しろ」

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有料セミナーなどで信者ビジネスを行なう“著名人”は多いが、最近はオンラインサロンと称される有料制会員サイトで、インターネットに対応したビジネス形態も展開されるようになった。有料メールマガジンの発展と言えるであろう。

教祖が信者から御布施を巻き上げるビジネスはありふれており、趣味などにおいて教祖の教えが適切な事もあるであろうから、さほど目くじらを立てるような事でも無いのだが、一部の教祖が調子に乗りすぎたようだ。大学に行かずにオンラインサロンに参加しろと言い出した*1

大学に行くべきかは人それぞれで、目指す職業によっては専門学校に行くべきであろうし、高卒で働く方が良い場合もある。しかし、オンラインサロンは就職活動時のアピールに全くならない。そもそも教祖の皆様の多くも大学や元の職場の名前で注目を浴び、社会的承認を得ている事が多く、大学を卒業した御利益を得ている。人的資本の形成と言う意味でも、オンラインサロンの中身*2に関して具体的なアピールはされていない。

大学教育とオンラインサロンを代替的なものだと見せかける一方、よくある大学教育が役に立たない論を主張することで、オンラインサロンの価値が高いことを主張しているわけだが、根拠と主張の乖離(Non sequitur)と言われる詭弁である。いよいよカルト化してきたなと言う感じもあるのだが、信者がそう集まらないのかも知れない。いや、集まってきたので調子に乗っているのであろうか。

なお、大学教育の公的便益については議論がある*3のだが、賃金にしろ生活満足度にしろ大学教育に私的便益がある事についてはコンセンサスがあるので、とくに名門大学には安心して通って欲しい。

*1落合陽一氏やブロガーの間で大学に行かずにオンラインサロンを受けることを勧める意見が続出→大学に行きながら受けることもできるのでは?と賛否両論 - Togetter

*2動画の講義と課題と採点があるオンライン大学とは異なり、教祖のエッセイが読めるSNSといった趣のようだ。

*3優秀な人ほど進学するので、大卒の賃金上昇効果などが先天的な能力のスクリーニングなのか、後天的な人的資本による業務遂行能力の向上のためなのか、医歯薬看など職業に直結しない場合の大学教育の効果については色々と議論がある。教育関係の研究者は人的資本によるものだと主張しているが(Lange and Topel (2006))、大学で習ったことを仕事に使っていない人はかなり多く、ごく一部の人にだけ人的資本の蓄積効果が出ているだけかも知れない。

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