2012年9月17日月曜日

原発ゼロと言う芝居

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革新的エネルギー・環境戦略の2030年に原発ゼロと言う目標に対して、非現実的だと言う批判が出されている。経団連の米倉弘昌会長と日本商工会議所の岡村正会頭が明確に反対を表明しているが、確かに非現実的で、芝居にしかなっていない。文章の混乱も激しい。

  1. 脱原発を答申するのであれば、コスト、危険性、環境影響を検証した結果であるべきだ。しかし、脱原発の根拠は世論としか明示されていない。世論が変われば、脱原発の根拠が無くなる。
  2. コストに関しては「原発のコストは・・・従来考えられていたように割安ではなく」とあるが、エネルギー・環境会議・コスト等検証委員会(2011)のコスト計算を参照していない。つまり、政府内部のコスト計算も無視している。
  3. 2030年代に原発稼動ゼロを目標にしているが、三原則が合致していない。40年運転制限制では、必然的に2050年代まで稼動する原発が出てくる。実際に、島根原発3号機、大間原発、東通原発1号機はまだ完成していない。
  4. 2030年代までに大量に発生する事になる廃炉について、大量の放射性物質の処理をどうするか、ほとんど言及が無い。40年運転制限制を厳密に実施すれば、今年から廃炉にされる原発が発生する。
  5. 核燃料サイクルを放棄し、直接処分を謳っている。しかし、高速増殖炉もんじゅは、高速増殖炉として稼動する事が前提の「廃棄物の減容及び有害度の低減等を目指した研究」に従事することになっている。
  6. 原発ゼロを目指すのに「新たな原子力人材の育成」を謳っている。
  7. グリーンエネルギー革命(再生可能エネルギーやスマートグリッドの飛躍的発展)や省エネルギーの実現を約束している。また、化石燃料の安定的かつ安価な調達を前提としているが、化石燃料価格の先行き見通しに触れていない。中国やインドなどの新興国の経済発展を無視している。

脱原発ができるように、再生可能エネルギーが発展するように祈ると言う内容。廃炉や核燃料サイクルについては、目や耳を塞いでいる。これ、本気なのであろうか?

脱原発は枝野幸男経産相が音頭を取っているのだと思うのだが、仙谷由人官房副長官と画策し、浜岡原発の停止で世論をなだめて他の原発の稼動を維持しようとしていた*1。このときは、菅元総理の錯乱で上手く行かなかった*2のだが、この政治家には芝居で世論をやり過ごそうと言う癖があるようだ。

*1毎日新聞の2011年5月13日の仙谷氏へのインタビュー記事で『「ほかの原発を安全に操業するためにも浜岡は無理しない方がいいと(菅首相に)言った」と進言』とある。

*2菅総理が原発再稼動にはストレステストが前提だと突然言い出し、海江田経産相との軋轢が深まったとされる。

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