2023年2月1日水曜日

あなたの中にあるペドフィリア蔑視

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ロリ絵好きではなくて、二次性徴前の児童と性行為がしたくて仕方が無い精神医学用語のさすペドフィリアという属性は、犯罪因子だから蔑視しておいた方がよいと主張すると*1、罪を犯す前に差別するのはよくないと言う批判をよくされる*2。しかし、批判者の皆さんもペドフィリアを蔑視している可能性は高い。

次の簡単な質問に答えて欲しい。

ペドフィリアはその性的欲求から小児性犯罪を犯しやすいので、特別なカウンセリングを与えて犯罪を抑制しようする試みが、ドイツで実施され効果があったことが知られています。日本でもペドフィリアに特別なカウンセリングを与える施策を行なうべきと言う主張に、賛成ですか?反対ですか?

費用対効果の問題もあるので無条件に賛成とはいかないと思うが、ペドフィリアにも潜在的被害者児童にも利益がある試みなので、条件付きであっても賛成の人は多いと思う*3。しかし、賛成をすると、ペドフィリアは小児性犯罪を犯しやすいと言う、ペドフィリア蔑視に同意したことになる。罪を犯す前に蔑視するのは反対と言うことであれば、この施策にも反対しなければならない。

犯罪抑制になっても差別的取り扱いになるから、反対? — そういう場合は続けて、誰かがあなたに無根拠にペドフィリアとレッテルを貼ったときに、あなたの名誉感情が毀損されるか否かを考えて欲しい。ペドフィリアとレッテルを貼られても*4不名誉だと感じないのであれば、きっとあなたにペドフィリア蔑視はない。

*1関連記事:ペドフィリア(小児性愛)は犯罪因子と蔑視しておいて問題ない

*2誰がペドフィリアか判別するのが困難であることを忘れ、属性への非難が直ちに個人への非難になり、少しでもペドフィリア蔑視を肯定すると、無根拠なペドフィリアへの偏見と、「罪を犯す前に自殺しろ」と言うような心無い罵倒を容認し、さらには差別と蔑視の区分けが曖昧になって、ペドフィリア排斥運動がはじまると考えている人々が多いようだ。なお、魔女狩りと同じと言う非難を受けたのだが、村や人を呪ったという無根拠な罪状で人々を処刑した魔女狩りは、属性に対する蔑視や差別と言うよりは、冤罪事件に近い話である。

*3このセラピーによるカウンセリングによってペドフィリアに自制を促す施策は、Levenson, Grady and Morin (2019)で言及されていた実際に実施されているもので、論文では有効だと評価されている。

*4名誉毀損になる可能性が高いので、誰かにペドフィリアとレッテルを貼ることは勧めない。児童性虐待で逮捕された公人で、医師の診断が確認されたケースであれば公益性が認められると思うが、それも裁判官の判断次第である。

1 コメント:

みなみ さんのコメント...

はじめまして。いくつかコメントがあります。
まず「ペドフィリアは小児性犯罪を犯しやすい」ということがなぜペドフィリア蔑視になるのでしょうか。例えばお酒を飲んだ人が交通事故を起こしやすいということでまだ事故を起こしていない人を酒気帯び運転として取り締まることに蔑視の意味合いはあまりないのではないでしょうか(差別的かもしれませんが)。
次に「誰かがあなたに無根拠にペドフィリアとレッテルを貼ったときに、あなたの名誉感情が毀損されるか否かを考えて欲しい」ということについてですが、ここには二つのレトリックがあると思います。まず無根拠にレッテルを貼ることそれ自体が名誉感情を毀損しうる行為ではないかということです。次に注4でuncorrelatedさんが指摘しているように、そもそも現在流通している言葉として「ペドフィリア」がよく思われていないということです。つまりこのような言葉で相手を形容するとき発言者には聞き手を侮辱したい等の意図がある場合がほとんどではないでしょうか。しかしペドフィリアという語が侮蔑的な意味で流通しているということと個々人の小児性愛への蔑視は別のこととして考えられるはずです。この二つのレトリックによって、小児性愛への蔑視の有無にかかわらず、「誰かが~」の問いは誰しもが否と答えづらいものになっています。

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