2023年2月19日日曜日

憲法解釈から同性婚の是非を考える必要は無いよ

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内閣総理大臣前秘書官の暴言をきっかけに、当事者間では双方に扶養義務を負い資産を共有する性行為の独占契約で、税制上の優遇措置が与えられる婚姻を、同性愛者間にも認めるべきかが議論されている。

世論調査では有権者の多くは容認すべきと考えている*1が、保守的な考えの人々も少なくない。憲法学者の石埼学氏が、憲法や関連法は生殖や育児を保護する目的で男女に婚姻に保護を与えており、同性婚に国家が保護すべき利益が見当たらないと主張し*2、生殖が問題であれば妊娠してから結婚を認めるように制度改正すべき*3だがそうなっていない、同性愛者の夫婦も養子をとって育児には貢献できる、生殖保護ではなく明治憲法の家父長制を否定するのが憲法条文の意図*4、生命科学の発展で同性愛者の夫婦も実子をつくれる可能性が出てきていると批判されている。

自然に発生する人間集団の最小単位が婚姻を中心とする家計で、政府も社会の安定のために、そこで交わされる契約を保証し、家計に生じる共有財産を社会の安定のために追認するしかなかっただけな気がするのはさておき、憲法制定時に想定していたことだけが「国家が保護すべき利益」とは限らない。同性婚を認めることであわせて生じる諸々の弊害よりも同性愛者の厚生が改善するのであれば、国家が保護すべき利益が無いとは言えない。憲法が異性婚しか許していないとすれば、憲法を改正したってよい。社会にどのような影響があるかは、既に同性婚を認めた外国の事例の研究で分かる。

*1同性婚導入、賛成64% | Reuters

なお、7年前の調査では51%だった(同性婚「賛成」51% 全国調査、世代間の認識に差 - 日本経済新聞)。

*2生殖可能性のない同性婚を法律で認める理由はない…憲法学の専門家が「同性婚の法制化」にクギを刺す理由 現状では国家が保護すべき利益が見当たらない | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン)

*3父親の同定のために妊娠前の結婚が必要と言う指摘もあったが、現在では親子鑑定のコストはそう多額ではないし、父親が認めている限りにおいて親子鑑定を実施する必要もない。

*4日弁連の会長曰く「憲法24条1項は「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立」するとしているが、これは婚姻が当事者の自由かつ平等な意思決定に委ねられるべきものを明らかにする趣旨であって、憲法制定時の想定や議論等に照らしても同性婚法制化を禁止するものではない。」そうだ。

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