2023年2月25日土曜日

買春客だけを罰し売春婦は罰さないスウェーデン方式でも、売春婦が問題顧客を警察に通報しない理由

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

日本の現行法では、売春は罰則のある違法行為で、買春は罰則のない違法行為なのだが、NPO法人ぱっぷす理事長が「買春した側を犯罪にし、性を売る側を非犯罪化にしてほしい」と言い出し、スウェーデン方式の是非が議論されている。しかし、想像力を欠いたオモシロ議論が展開されてしまっている。

ネット論客手嶋海嶺氏の以下の議論*1を見てみよう。

一方で、「北欧モデル(=スウェーデン方式)」なら、「相手(買春者)だけ犯罪なら通報は出来るんじゃない? 自分は逮捕されないんだし……」と当初思われてたんだけど、実はそんなこと現実的にほぼ不可能だったと分かったのよ。

(中略)

自主的な通報は可能だとしても、それはセックスワーカーを辞める覚悟で1回しか出来ないわ。

議論に2つ問題がある。暴力を働いたり、支払いを拒否したり、避妊具の装着を拒絶したりした客を警察に通報したセックスワーカーを、そのような問題行為をしない買春客が避けるべき理由がない。そもそも買春客は、客を警察に通報した履歴があるのか知る術が無い*2

ただし、別の理由で犯罪被害にあっても警察に通報できないことはある。日本でも韓国、台湾、フィリピンなどからの流入がいる/いたわけだが、国によってはセックスワーカーの多くは外国人で違法労働者となっている。警察を頼ると、売春で罰せられなくても、違法労働で国外退去になってしまうのだ。また、社会的スティグマが大きくセックスワーカーである事が公にされたくない場合は、罰則や国外退去がなくても警察を避ける。警察に通報しても何も対応してくれない可能性もある。とくにスウェーデンの警察は多忙で、性犯罪捜査が緩慢だ*3

ところで手嶋海嶺氏の説明では、「バレたら俺が逮捕されるんだが、どういう対策があるんだ?」と買春客が売春婦に警察対策を迫る事になっていたが、手嶋海嶺氏が参照している報告書*4(Table 11; p.129)では、評判のよい売春婦、馴染みの売春婦を選んだり、国籍で売春婦を選んだりすることを、買春違法化対策として考えていると指摘していた。

0 コメント:

コメントを投稿