2018年4月5日木曜日

現金給付をしても、貧困者は酒とタバコへの支出は増やさない

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米国でフードスタンプをやっているせいか、日本でも生活保護の給付はクーポン券にしようと言う動きがある。貧困なのに奢侈を楽しむ人が報道されることがあり、それを防止したいと言うのが理由だ。これに関してクーポン券がセカンダリ・マーケットで売買されるので実質的な意味が無い、売買防止のためのシステム構築にはお金がかかるなどの議論がされているのだが、そもそも現金給付をしても無駄遣いをしない事がわかってきた。

世界銀行のDavid Evans氏とスタンフォード大学のAnna Popova氏が、19の計量分析の研究をメタアナリシスをかけたところ、家計への現金給付は酒とタバコへの支出を減らす傾向があることが分かった*1。個別に見ても19全ての研究で酒とタバコへの支出は増えず、大多数の研究で減らす傾向があるそうだ。理屈はよくわかっていないが、(1)子女の教育支出を増やすために酒やタバコを減らす*2、(2)支出が固定されていなくても、家族福祉のためのお金ですと言われると、そのために使おうとするフライペーパー効果が働いていると言う二つの可能性が示唆されている。

日本だと酒やタバコだけではなくパチンコが問題になっているので、この研究結果をそのまま請け売りできないかも知れないが、給付効果を計量分析する研究なしに現金給付を非効果的で非効率と断定できなくはなった。

*1Giving poor people cash gets them to spend more on good stuff and less on tobacco and alcohol — Quartz

*2貧困者に給付を行い予算制約を増やすと、子女の教育支出を増やすために、酒やタバコを減らすと言うのは、教育と言うか学歴が非線形であるからであろうか。

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