2018年3月8日木曜日

北朝鮮の融和姿勢で、対北朝鮮国連制裁の実効力強化が難しくなる

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

北朝鮮が核放棄を含めた対話姿勢を打ち出したことで、ある種の安堵感が広がっている一方、時間稼ぎのための方便だと非難する声も多い。信憑性の是非もそうなのだが、これによって主要国は急いで方針の修正を迫られることになった。前回の対北朝鮮国連追加制裁決議は2017年12月22日。90日間の観察期間を置いて今月、効果が薄いとされれば、さらなる追加制裁が行なわれることになる。

主要品目のほとんどが輸出禁止になり外貨獲得が困難なため原油を含めた輸入が大きく制限される一方、洋上での物資の積替えにより経済制裁を完全に実施することは依然として出来ていない*1。米国は昨年から公海での臨検を求めているが、これは武力行使になるためか中国やロシアの同意は得られていない。

日米からすると、対話の開始によって現在の国連制裁を解除する事は無いとはされる*2が、南北首脳会談前に制裁強化で中露の協力を得るのが難しくなった*3。北朝鮮が非核化に応じる気は無い一方、時間を稼ぐことで主要国間の連携を切り崩せるのであれば、巧妙な外交になる。1994年の米朝枠組み合意も、2005年の6者会合の共同声明も、北朝鮮から一方的に破られており、可能性は十分にある。

融和路線の文在寅政権としては、渡りに船であったと思うが。なお、韓国大統領府を通じた意思表明であり、何かのバイアスが入っている可能性がある。北朝鮮側からは何も声明は出されていない。

*1北朝鮮関連船舶による違法な洋上での物資の積替えの疑い | 外務省

*2対北朝鮮制裁は継続、韓国大統領が表明 「楽観は尚早」

*3もちろんこれは憶測である。中国もロシアの出方次第なので、関係なく強化されるかも知れない。

0 コメント:

コメントを投稿