2018年3月13日火曜日

森友学園問題の事件の構図を断定する前に

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昨年末の会計検査院の報告と、ここ一週間の決裁文書改竄の顕在化で、理財局の官僚が森友学園に国有地を根拠の弱い価格で売却し、しかも関連文書を積極的に廃棄するばかりではなく、文書改竄でその事実を誤魔化そうとしていた事が明らかになった。麻生財務相の責任を問う声や、安倍総理などの関与を疑う声が上がっているのだが、事件の構図を描くにはまだ早いことに注意しよう。

一年ぐらいアレコレやっているわけだが、事件の核心には大きく迫れていない*1。政府が何か隠している気がするので、政治家に不正があったと言いたくなるのは分かるのだが、まずは以下の外堀を埋めないといけない。

1. ゴミ処分費用の見積もりを行なった職員の事情
会計検査院が国有地の売却金額は不適切だと結論している*2が、なぜいい加減な仕事をしたのかは分かっていない。ポイントはゴミ処分費用の見積もりなのだが、それを行なった国土交通省大阪航空局職員を国会に呼ぶことを、安倍内閣が避けているからだ。見積もりをした職員を承認喚問なりして、上からの命令なのか、自己判断なのか聞かないと、事件の最初に何が起きたのかが分からない。
2. 決裁文書の改竄を指示した人物とその動機
政治関与は無く、佐川前理財局長の国会答弁にあわせて決裁文書を改竄したと報じられている。だが、決裁文書を確認しないで佐川氏が国会答弁をしていたのが不自然であり*3、佐川氏のヘマを取り繕うために失職どころか懲役刑もあり得るリスクを取ったのが謎として残る。実行犯に事情を聞いてみる必要があるが、政府は改竄を指示した人物を明らかにしなかった。

メディアが騒いだ根拠薄弱なスキャンダルもどきのように事件そのものを矮小化するのはもはや無理だが、情報の欠落があるので財務省内だけの問題なのか、政治家も絡んでいるのかは今のところ特定できない。このためか、党派性を自覚する事なく、かなりの予断で嫌いなモノを非難している人々を多々見かける。しかし、遅かれ早かれ足りない情報が出てくることには注意すべきだ。

既に、大阪地検特捜部が公用文書毀棄罪と背任罪で動いており、有印公文書変造罪も追加されるであろうから、関わった官僚や職員の供述は今後、出てくる可能性が高い。好き勝手なことを言っていると、大はずれを揶揄される事になる。

*12017年3月6日に国会の要請を受けて会計検査院が調査を開始し、2017年11月22日に問題ありと結論を出したので、メディアや野党の言動が全く成果を挙げていないと言うわけでもない。

*2会計検査院によるゴミの量の試算は混入率法で6,196t、層厚法で13,927tと推定され、いずれも大阪航空局が算定した処分量19,520t(地下埋設物撤去・処分概算額8億1974万余円)とは大きく異なる(「学校法人森友学園に対する国有地の売却等に関する会計検査の結果について」本文 pp.78--80)。また、軟弱地盤対策費も過剰になっている可能性を指摘している。

*3森友文書改ざん:にじむ官の配慮 昭恵氏の発言削る - 毎日新聞

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