2018年1月19日金曜日

最初の天然痘ワクチンに入っていたウイルスの出所は不明

このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket

18世紀末にエドワード・ジェンナーが牛痘接種法による天然痘ワクチンを発明し、1977年を最後に根絶されたのは広く知られている。そして、一般に牛が感染する牛痘の膿をワクチンとして用いたと信じられているが、これは誤りだそうだ。実は、最初の天然痘ワクチンの正確な出所はわかっていない(POPSCI)。

広く知られた伝説では、酪農場で牛の乳搾りをする女性労働者が天然痘にかかりづらい事がヒントになり、致死性が低い病気の牛痘にかかった人間は天然痘に対して免疫を持つと言う仮説を思いつき、植木屋の息子に牛痘の膿を接種して見て、天然痘にかからなくなることを発見したと言うことになっている。しかし、1902年の生ワクチンが含んでいるウイルスを分析したところ、99.7%が馬痘であった。

ジェンナーは、馬痘の膿みを牛に接種し、それで牛が出した膿みを人間に接種する事を考えていたことが分かっており、それと整合的な結果である。また、ジェンナーは何回も馬痘の膿みを採取しているそうだ。なお、長い時間、宿主を替えつつ培養され、ワクチンとして良い性質を持つ株を選別していったため、ワクチンの株は統一されていない。だから、ジェンナーのオリジナルがどのようなものであったかは、知る事はできない。

ジェンナーのワクチンに天然痘の予防効果があるのは間違いないし、もっと副作用が小さいワクチンも開発されており、そもそも天然痘が撲滅されてワクチン自体の必要性も無くなっているのだが、ワクチンの中身が胡散臭いと言う話にもちょっとは根拠がある事が分かる。もちろん、天然痘以外の最近開発されたワクチンはきっちりプロセス管理されているので、こういう事は起きない。

0 コメント:

コメントを投稿