2017年11月22日水曜日

インフルエンザ・ワクチンが効かない年がある理由

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スペイン風邪以来怖れられているインフルエンザ対策と言えばワクチン接種だが、実は効き目が毎年違う。なぜならば、流行のインフルエンザ株にあわせたワクチン製造に失敗する事があるからだ。その事情が、POPSCIで説明されていた。

突然変異を繰り返すインフルエンザ・ウイルスには、毎年同じワクチンは通用しない。国立感染症研究所のウェブページには、毎年のインフルエンザワクチン株がリストされているが、その4種類の組み合わせは確かに毎年変わっている。ワクチン生成をする前に、流行のインフルエンザ株を特定しないといけない。

インフルエンザ・ワクチンの製造は、ニワトリの受精卵を使って行なうのだが時間がかかる。諸々の手配を考えると1年以上かかるとも言われるが*1、2009年の新型インフルエンザ(A型H1N1)のパンデミック騒動からすると、生産期間は半年弱*2はかかる。たまに新技術が報道されるが、まだ量産に使われているものはないようだ*3。北半球の流行のピークは2月なので、夏より前には生産する株を決定しないといけない。しかも、流行はもっと早く始まる可能性もあるので、時期にも不確定性がある。

夏に流行するインフルエンザ株を特定できるかと言うと、現状では困難が多い。世界保健機関(WHO)の勧告を元に各国で予測を行なっており、米国では保健福祉省の機関である疾病対策センター(CDC)の感染症予測イニシアティブ(EPI)が28種類の予測モデルから、流行する株と流行時期を予測している。他の取り組みもあって、カーネギーメロン大学のシステムでは、集合知を使って流行時期を予測している。シカゴ大学の研究チームは、ウイルスの突然変異も予測に入れたモデルを構築している。しかし、予測制度は十分ではない。

こういうわけで、流行するインフルエンザ株の予測は困難で、そこそこ外すらしい。しかも、突然変異があるので、種類が当たっていても効果が薄い場合もある。日本でも「今年は特に効きにくい」などと言う報道を見かけることがあるが、今年もワクチンの製造に使用する株が製造過程で変更となり、すでに製造に入っていた分が使えなくなった上に、最終的な株の決定もずれ込み、各メーカーの製造開始も遅れたために、供給が十分に行なえていない*4

こういう分けでイマイチ感があるインフルエンザ・ワクチンだが、株が当たっている限りは発症をしても重症化を抑える効果があったりするので、無駄と言うことはない。忙しい人や病気になりたくない人は*5、接種しておいたほうが良いとされている。

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