2017年6月6日火曜日

行政改革に特区制度は必要か?

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現在の日本には構造改革特区、総合特区、国家戦略特区の三種類の特区があるが、民進党がその中の国家戦略特区の廃止を求める方針を明らかにした。これを「硬直した行政を打破しうる国民にとって有益な選択肢が無くなる」と批判している元官僚を見かけたのだが、日本において特区にそういう機能があるかは、しっかり考えた方が良いように思える。新たな行政の硬直化を招く場合もあるし、しっかり規制緩和を行なわずに、特権集団に“お友達”を加えて終わる事もあるからだ。

ある特定地域だけ例外的に規制緩和、財政・金融支援などを行なう政策を総じて特区制度と呼び、植民地支配の経験から外資系企業の経済活動を制限してきた開発途上国が、例外的に外国企業の土地所有や出資などの規制などを取り払うことで成果をあげて来たこともあり、ここ三十年ぐらい世界で人気の政策となっている。ただし狙った成果が出るとは限らないし、特区が新たな特権となる場合がある。

小泉政権のときにはじまった構造改革特区の一つの酒類製造免許に関する年間最低製造数量基準を適用しない『どぶろく特区』は人気となり167も設置されたが、政策効果を認めて全国一律の規制緩和をしようとしたところ、酒税徴収が困難になると財務省が反対しただけではなく、地域集客力を失いたくない特区関係者も反対し、既得権益化することになった*1。別の方向に硬直化したわけだ。

安倍内閣のときにはじめた国家戦略特区では、特区になる今治市と言うよりも、加計学園に利権の割当が行なわれたのが、正に今、問題になっている。今治市が指定される国家戦略特区は、一校に限り、獣医学部の設立を無条件に許さない「大学、大学院、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準第一条第四号の規定」の制限を受けないものだ。特区内に新設される大学等ではなく、加計学園に寡占市場へ参入できる利権が割り当てられたと言える。

寡占市場に参入するプレイヤーが多くなるので消費者に便益が無いとは言えないが、本来ならば認可の基準第一条第四号の規定そのものを変えるか消すべきであろう。現在までの獣医師の養成数を抑制すると言う方針が維持され、やはり一校に限り新規参入を認めることになっても、一校分だけ養成数を増やす理由や、その一校に求められる条件は明確に説明できるようにならなければ、しっかりした規制緩和とは言えない。

そもそも硬直した行政 云々 うんぬん と言うのが幻想な可能性がある。内閣の意向で、所轄省庁や関連団体の反対を押し切って様々な施策が行なわれて来ており、役所や業界団体などが改革に強く反対する岩盤規制など存在しそうにない。郵政は民営化され、農協などが反対していたTPP交渉には参加し批准までした。本当に手のつけようのない岩盤規制が、どこにあるのか気になるところだ。

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