2016年5月4日水曜日

若返り効果たんぱく質についた疑問

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並体結合で若いマウスの血を老いたマウスに送り込むと、老いたマウスが若返る血液ドーピングは広く知られている現象だが、その理由については良く知られていない。2013年にハーバード大学のAmy Wagers氏らがGDF11と言うたんぱく質に起因すると主張していたのだが、2015年の報告で疑問が出された(Nature News & Comment)。

もともとのWagers氏らの報告では、GDF11はマウスが老化するに従い減少していき、GDF11を心筋に送り込むと、薄くなり、流血が多くなる若返り現象が見られた。しかし、ノバルティス・バイオメディカル研究所のDavid Glass氏らの研究では、GDF11はマウスが老化するに従い増加していき、さらに筋肉修復を阻害するように見られたらしい。観察結果が合致しないのは、Wagers氏らの手法ではミオスタチンとGDF11の識別が不十分であったためだそうだ。なお、並体結合の効果の理由についてGlass氏は結論を述べていない。

分野によっては出版された論文は正しいと見なす事が多いようだが、生命科学界隈の新発見は往々にしてこういう事がある。古くはノーベル賞をとったヒルが提唱していた乳酸疲労説と言うのもあるが、今でも似たような事は起きているわけだ。

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