2013年6月30日日曜日

行動生態学の授業でゲーム理論を演じさせられる

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通常の大学の試験では周囲と協力して解答を書くことは禁じられているが、UCLAのPeter Nonacs教授は行動生態学の授業で、グループで議論して解答する事を許してみたそうだ。つまり学生を被験者とする行動生態学の実験を、試験時間を使ってやってみたと言う事らしい(POPSCI)。

アリストテレスの説は理屈のついた明確な主張をしていたからガリレオに打破された

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擬似科学ニュースが、アリストテレスとガリレオの説を比較すると、当時の実験データからはアリストテレスが正しかったと主張しているのだが、アリストテレスの説に思い違いがあるようだ。

アリストテレスは「重いものほど速く落ちる説」ではなく、「重さに比例して早く落ちる説」を唱えていた。理屈もつけられていた。土元素が多いものが重い、それが多いものほど速く落ちる*1。アリストテレスによれば、2Kgと1Kgの同じ物体であれば、前者が2倍の速度で落下する。

旧植民地でも英語での教育は非効率

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サブサハラ・アフリカの低所得国の教育問題に取り組んでいるEdQualが、恐らく初等教育で、タンザニアとガーナで母国語と英語の教育効果の差の調査を行った2010年のレポート(MTB-MLE Network)が今頃になって出回っていた。

2013年6月29日土曜日

理論と現実が矛盾したら、理論が間違っている

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疑似科学ニュースから科学と統計は同じものだと考えているのかと言う質問が来ていて、実は回答済み*1なので様子見していたのだが、再回答してみたい。理論と現実が矛盾したら、常に理論が間違っていると考えている。

現実の観測には困難が付きまとうわけで、バイアスや誤差を考えると観測データを信じていいのかと言う問題は残る。統計学が観測データの見方を教えてくれるわけだが、データが限られている場合は限界がある。それでも実験データ、疫学データなど複数の分析結果が同じ方向を向いていて、それが理論と相反していれば、理論が間違っていると考える方が妥当なはずだ。

2013年6月28日金曜日

即戦力がつくビジネス英会話

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即戦力がつくビジネス英会話」はシバキ系英語教育の専門家である日向清人氏のちょっと昔の英語学習本。ビジネス井戸端英会話の代理で、2004年4月から9月に日向氏がNHKのラジオ英会話を担当したときの教材をまとめたものだそうだ。

氏は、ビジネスで英語を使うなら泣き言を言わずに1万時間ぐらい英語を勉強しやがれ・・・と言うぐらいシバキなのだが*1、シバクだけでは無くて適切な教材を提供する意欲にも溢れているようだ。受験英語の次に、学部生ぐらいが読むと良さそうな内容になっている。

ネズミに有効な敗血症の薬が人間に効かないワケ

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実験動物と言えばネズミが代表的だが、そのネズミの実験結果が必ずしも人間には当てはまらない理由を示した研究が、以前に紹介されていた。PNASに掲載された論文によると、ネズミに有効な敗血症の薬が人間に効かないことが多々あるらしく、臨床実験に失敗した数は150近くに上るそうだ(NYTimes)。

2013年6月27日木曜日

LNTは理論/計量モデルでは無く防護モデル

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「擬似科学ニュース」とやり取りを続けているのだが、最大の見解の相違は、LNTが防護モデルなのか、理論/計量モデルなのかと言う所だと思われる。今日も「LNTモデルの意味」とそれに関して主張するエントリーが出ていた。

同ブログの主張は、電離放射線による遺伝子異常の発生確率が放射線量に比例するので、被曝量と発がん確率が線形関係にあると言うのが、理論的な根拠になると言うものだ。しかし、少なくともICRPは、そういう見解は示していない。

2013年6月26日水曜日

ずるい金持ちは不親切では無い

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金持ちになるほど、ズルくなる」と言う調査結果が話題になっていたが、金持ち指向の人はズルいけれども不親切ではないと言う実験結果が出てきた(POPSCI)。大半がビジネスを先行しているロヨラ大学経済学のコースの学生50名を対象にした実験の概要は次のようなものだ。

2013年6月25日火曜日

電子データからインフルエンザ・ワクチンを作る

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現在のインフルエンザ・ワクチンは、ニワトリの受精卵にワクチン株のウイルスを接種し、増殖させた後に不活性処理をして作っている。ウイルスが無いと製造工程に入ることができないのだが、マサチューセッツ大学の合成生物学者が電子データからインフルエンザ・ワクチンを作る事に成功したそうだ(POPSCIDVICE)。

インドネシアが煙を出して、シンガポールとマレーシアが咳き込む

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インドネシアからの焼畑農業の煙で、シンガポールやマレーシアに記録的な大気汚染が発生し、三国間で外交的に揉めているようだ(BBC)。

シンガポールの環境水資源大臣は御立腹だが、インドネシアの人民厚生大臣は自然な現象と呑気に構えている。雨乞いの煙とか、シンガポール企業も進出しているパーム油製造業者にも問題があるとか、インドネシア側の説明が面白い。

疑似科学を統計学的に否定すべき理由

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擬似科学ニュースが「統計的有意性がないという理由で、疑似科学を否定するのは間違っている」と主張している。

主張されるモデルの説得力が重要だと言いたいようだが、統計的有意性が重視されるのが現代科学なので、この主張に納得する科学者は少ないと思われる。

基本的な科学的事実の認定方法を確認して、疑似科学に騙されない心構えを鍛えよう。

2013年6月23日日曜日

ICRPのLNT仮説への懐疑は、DDREFの採用から分かる

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疑似科学ニュースが、「ICRPはLNT仮説を科学的に信じていない」と言う主張の理由を問いただしている。ICRP自身が疫学的リスク計算を戒めていると言うだけでは、陰謀論に思えて納得できないようだ。何はともあれICRPのLNTモデルの作り方を見てみると、実用的な補正が施されていることが分かると思う。

2013年6月22日土曜日

片瀬久美子のLNTモデルの説明の良く分からない部分

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疑似科学ニュースのエントリーについて書いていたら、サイエンス・ライターの片瀬久美子氏が「私の記事の方をちゃんと読んで欲しい」とコメントされていた*1ので、「放射線の健康影響をめぐる誤解 - その2.線形閾値なし( linear no-threshold: LNT )モデル」を拝読した。なるほど、疑似科学ニュースの批判はずれているようだ。しかし、片瀬氏の文章にも問題がある気がしなくも無い。

2013年6月21日金曜日

疫学的リスク推定と放射線防護のダブルスタンダード

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科学ジャーナリストの片瀬久美子氏の記事に、疑問が投げかけられている(疑似科学ニュース)。議論は色々とあるのだが、科学的な信憑性は無いけれども、防護基準としてLNT仮説とALARAが採用されていると言うのが、疑似科学ニュースの著者はどうしても理解できないようだ。国際機関であるICRPが提示する数字は、科学的根拠があると思ってしまうらしい。

2013年6月20日木曜日

経済評論家が独自展開する非対称性論について

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経済評論家の池田信夫氏が「麻生財務相の公言するテールリスク」で、色々な非対称性をリストしているのだが、問題が少なからずある。情報の非対称性が現実の問題を矮小化したものだと主張しているが、議論している内容は情報の非対称性の文脈で出てくる事象しかない。

チャーター・スクールは意味がある?

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1991年にミネソタ州で始まったチャーター・スクールは、公立学校と異なる方式の教育を行う中高で、Wikipediaによると2011年には全米に5,600校、入学者数は200万を超えて拡大しつつあるそうだ。学業優先の日本で言う進学校のような組織だが、貧困層の子供たちの学業支援を目的としている。

2013年6月16日日曜日

大阪 ─ 大都市の地方自治はどうあるべきか

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橋下大阪市長周辺の議論の理解を深めるために、大阪市立大学の砂原庸介氏の「大阪―大都市は国家を超えるか」を拝読した。

何かと話題の「大阪」と言う地方自治体を分析しており、一読する価値のある本だとは思うのだが、サブタイトルに該当する内容が本文に見当たらない部分以外にも、幾つか違和感が残る部分があるので述べてみたい。

バクテリアでさえ計算ができるのにオマエラと来たら

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Nature誌に掲載されたMITの技術グループの研究によると、バクテリアの細胞の遺伝子を改造することにより、除算、乗算、対数、平方根の計算に成功したそうだ。現存する他のバイオ・コンピューターよりも効率的らしい(POPSCIMIT News Office)。

2013年6月15日土曜日

「均衡」と「定常状態」で経済評論家に騙されないための知識

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均衡も定常状態も定義された単語なのだが、ネット界隈ではあやふやに使われる事が多い。特に動学マクロ経済学の話になると、混沌としてくる。

昨日も動学マクロ経済学では・・・と言いつつ、定常状態=均衡と言っている経済評論家を見かけた。定常状態=均衡では無いし、例え失業者がいても理論上は不均衡だと見なさないのだが、そういう事が分かっていないらしい。

不況で売春婦はあがったり

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不況で英国の売春婦が単価を下げている。性的サービスが奢侈である事から需要が下がっている一方で、失業や移民などで供給も増えたこともあって、単価を下げざるを得ないそうだ(The Economist)。

2013年6月14日金曜日

池田信夫がGDPギャップの定義を勘違い

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私も先日まで誤解していた*1のだが、経済評論家の池田信夫氏がGDPギャップに関して勘違いを披露していたので指摘したい。誰かそっと教えてあげてもいいと思うのだが、誰も指摘していないようだ。

不安定な長期金利、円高、そして株安に関して知っておくべきこと

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円高株安で日銀の金融政策に関しての不満や失望感がネットで広がっているようだが、市場関係者は分かっていると思うものの、追加緩和が無い事が全ての起因と言うわけでもない。

為替相場は外国の都合も多々あるし、株安も為替や株価収益率から考えると極端に安くなったとも、あるべき水準を外しているとも言い難いわけで、失望するには当たらないように思える。

2013年6月12日水曜日

インフレで政府債務は減らないと言う論文に関して

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松井・藤原(2000)を根拠に、インフレになったら債務が増えると経済評論家の池田信夫氏が主張している。論文と書いてある事が違うし、最近の欧米の実質金利の状況を無視している。「日銀のシミュレーション」*1として参照している図表は概念を示すもので、シミュレーション結果ではない。

ベイジアンな相関係数は確率! by 高橋洋一

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そんなわけが無いが、元官僚の高橋洋一氏がそう主張している*1。経済評論家の池田信夫氏の『「相関」というのは、45度線になったときが最も高く、垂直または水平になったときはゼロ(相関なし)』と同じぐらい確率・統計的に問題があると思われる。

所得税の累進性の低下が貧富の格差を生み出した!

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著名経済学者のSaez氏が、所得税率の低下が貧富の格差を生み出したとプレゼンしている動画が回って来た(Youtube#1, #2, #3)。アクセス数は多くは無いのだが、高税率を毛嫌いする新自由主義者と言い合う材料には事欠かないので、視聴する価値はあると思う。

2013年6月10日月曜日

池田信夫症候群 ─ 参照先は読んで欲しい

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経済評論家の池田信夫氏が、情報の非対称性やエージェンシー問題に関して、それでノーベル経済学賞をもらったスティグリッツを批判している(スティグリッツ症候群)。しかし、批判対象の論文を読んでいないか、参照先/リンク先を誤ったようだ。

慰安婦問題で歴史家が政治を実行する

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慰安婦問題に関して橋下大阪市長に、中央大教授の吉見義明氏が公開質問状を出した(アジア女性資料センター)。

既に慰安所は許されない、不明点は歴史家に任せたいと言った橋下氏は、吉見発言への誤解だけ謝罪・訂正して後は言及しないと思われるが、この公開質問状は論点整理として興味深いので一読の価値はあると思う。しかし、最初の質問が政治的過ぎる。

2013年6月9日日曜日

時系列データの相関係数はあてにならない

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元官僚の高橋洋一氏が時系列データの相関係数が高い事を論拠にしているが、この論証方法は全くもって厳密ではない。

計量経済学では時系列データの相関係数はあてにならない事は80年代から良く知られており、これに関連した業績でエングルとグレンジャーは、2003年にノーベル経済学賞を受賞している。

錯視まで詰まった「逆説論理学」

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野崎昭弘氏の「逆説論理学」は、中高生向きの教養本だと思うのだが、色々なパラドックス(常識に反する主張)を紹介している娯楽本だ。33年の発売なのに今でも売っている名著の類だが、ドサクサに紛れて錯視まで紹介されている。

あまり数学を使わないように努力しているが、所々に簡単な証明も入るし、数学の本に分類されると思われる。応用分野の人々には縁が薄そうなカントール、ラッセル、ヒルベルト、ゲーデルの名前を知るには調度良い本かも知れない。

2013年6月8日土曜日

何かがおかしい合理的期待形成

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インフレ予測の文脈で、合理的期待形成を説明している経済評論家を見かけたのだが、何かがおかしい。合理的期待形成の定常状態に不完全競争などの影響が入らないように読めるし、行動ファイナンスは適応的期待形成に分類されている。また、消費を調整する事になっているのだが、消費だけとは限らない*1

慰安婦問題は強制連行の有無が唯一の争点

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神戸大学の木村幹氏が、『「ガラパゴス化」する慰安婦論争 ―― なぜに日本の議論は受入れられないか』について、歴史認識問題(従軍慰安婦問題が強制連行の有無)ではなくて、女性の人権に対する問題に変質したと主張している。歴史認識問題にこだわるのは日本だけだと言いたいようなのだが、女性の人権問題で日韓が対立しているようには思えないし、事あるごとに歴史認識を持ち出してくるのは韓国側なので、木村氏が何を問題にしているのかが分からない。

2013年6月7日金曜日

“リフレーション政策”を実行したけれども

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安倍晋三氏が自民党総裁に返り咲いた2012年9月12日ぐらいから上昇しはじめ、4月4日の黒田日銀総裁の異次元緩和後に上昇ペースが加速した株価だが、ここに来て急落の動きを見せている。良くも悪くも落ち着きを取り戻したようだ。黒田バズーカに何も効果が無かったように見えるわけだが。

2013年6月4日火曜日

尖閣諸島を中国から“消す”方法

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中国版Twitterの微博で 大黄? (巨大あひる)が検索規制ワードにされているそうだが、天安門事件の有名な写真*1のパロディーのコラージュ画像が作られたためらしい(Twitter)。

これを見て『尖閣諸島にでっかい文字で「六四天安門事件」って書いとけば中国から見えなくなるんじゃね?』と言っている人がいる。試すわけにはいかないが、天安門事件が未だにセンシティブな話題なのは確かだ。

2013年6月2日日曜日

我が州の微生物はSaccharomyces cerevisiae!

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Saccharomyces cerevisiaeはエール酵母の事で、米オレゴン州議会は58-0の賛成多数で州の微生物としてこれを認定した。

ビール醸造で毎年240億ドルの収入がオレゴン州にはあるらしく特段おかしい事ではないのだが、2010年にウィスコンシン州が、バターミルクとチーズの醸造に使われるLactococcus lactisを州の微生物に登録しようとしたときは、州上院の反対で否決されているので、初の快挙になるようだ(POPSCI)。

2013年6月1日土曜日

国連拷問禁止委員会の勧告を逆手に取りたい

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国連の拷問禁止委員会が日本政府に勧告を出したと朝日新聞が報じているが、「関係者の訴追が行われていないことに懸念」が、二番目に勧告されている事が気になった。この勧告に従うとして、“関係者”を訴追するための情報が無い。

この勧告、逆手に取ると、訴追するために調査を行う必要性があると言える。慰安婦の供述の信憑性を検証する必要があるし、朝鮮人の女衒なども探す必要があるであろう。また、日本人であろうと、朝鮮人であろうと、法廷に引きずり出すには、それなりの証拠が必要だ。舌禍の元である橋下大阪市長は、もしくは片山さつき参院議員は、この勧告の項目(b)に賛同すべきであろう。