2013年9月11日水曜日

福島第一原発の汚染水は浄化して薄めて海に流す算段

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経済評論家の池田信夫氏が『原発の汚染水は「完全にブロック」できるのか』と『なぜ原発だけ「ゼロリスク」を求められるのか』で、「(汚染水を)環境基準を定め、薄めて海に流す方針に転換すべき」と言い出しているのだが、現在議論されている内容とは異なったものとなっている。

東京電力は多核種除去設備(ALPS)を用意していて、汚染水から大半の放射性物質(62核種)を除去してから、必要ならば薄めて汚染水を海に流す方針だ。三重水素(トリチウム)が残ることに不安を感じている人もいるのだが、これは技術的に除去するのが困難である一方で、β線しか出さない安全な核種で平常運転の原発からも排出されている事から、現実的な危険性は低い。

ALPSは2012年10月に設置され、樹脂製の容器の強度不足を原子力規制委員会が懸念したこと、2013年6月にタンクの腐食による水漏れトラブルが発生した事から開発が遅れているが、9月中旬の稼動を目指している(化学業界の話題)。計画が難航しているのは分かるのだが、政府も東電も関連メーカーもなるべく環境汚染を低減しようと1年間努力して来ているのに、薄めて捨てろとは大雑把過ぎる議論だ。

ところで池田信夫氏は石炭火力発電所の周辺住民の被曝量を「最大180mSv/年」としているが、引用先を見ると一つの“極端な推定”で18mrem(≒0.18mSv)と書いてある。mとμを間違えたのかも知れないが、数字が1000倍になっていて、危険を煽っているのが気になるところだ。そもそも事故発生時に排出される放射線物質の量を気にしているわけで、平時の火力と原子力を比較しても意味が無いのでは無いであろうか(関連記事:石炭火力が原発の100倍の放射性物質を出す?)。

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